研究課題/領域番号 |
22330095
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小川 光 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10313967)
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研究分担者 |
相浦 洋志 大分大学, 経済学部, 准教授 (50511177)
伊ケ崎 大理 日本女子大学, 家政学部, 講師 (10336068)
川崎 晃央 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (10452723)
川地 啓介 三重大学, 人文学部, 准教授 (40455069)
内藤 徹 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (90309732)
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キーワード | 財政競争 / 医療ネットワーク / 航空ネットワーク / 企業集積 / 環境汚染 / 失業 / 政治腐敗 / グローバル化 |
研究概要 |
本年度は、3グループ(財政競争、空間経済、ネットワーク経済)に分かれて、個別グループのテーマ設定に従って研究を進めた。「財政競争」班は、財政競争モデルの動学ゲーム化を目的として研究を進め、財政競争モデルの2段階化に成功し、複数段階ゲームのもとでの資本市場のグローバル化の影響を分析することを可能にした。この成果は国際学会等において発表された後、現在、国際学術雑誌で審査を受けている段階にある。「空間経済」班では、労働移動と空間集積の関係解明を分析目的として設定した。この目的のもとで、生産活動に伴う環境汚染と集積の関係、および都市=地方間の労働移動と都市内失業に与える企業民営化の効果などの解明に至った。研究成果は、種々の学会で発表され、一部は国際学術雑誌に掲載された。「ネットワーク経済」班では、航空および医療を例にしたネットワーク・モデルの構築と政策分析を行うことを目的にした。医療ネットワークのモデル分析からは、グローバル化の進展に伴って各地域の医療品質の改善が進むが、その改善の程度は地域の人口により異なることを明らかにするという成果を得た。また、航空ネットワークの分析では、グローバル化した航空市場でどのような都市がハブ空港として採用されるのかについて分析を行い,かならずしも後背地の都市人口が多い都市に有る空港がハブ空港として採用されるわけではないことが明らかになった。 定期的な研究会も鹿児島大学および名古屋大学において行い、各研究班の知見の融合、課題の共有化などを行った。この中から、本研究の主たる目的である財政競争研究に空間的要素の導入を図るための基本モデル構築に至った。具体的には、「空間経済」班のモデル化提案をもとに、「ネットワーク」班の相浦と「財政競争」班の小川が、財政競争の空間モデルを構築することに成功した。来年度は、この基本モデルをもとに種々の政策分析を可能にする要素を追加していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的は、各班ごとの目的にそったモデル構築と、そこで得られる知見の共有であったが、研究分担者全員が参加しての集中的な研究会などを通じて、着実にその目的は達成できている。各班ともに査読付き学術誌への継続的な掲載を果たしていることから、外形的にも研究が順調に進展していると判断できる。本研究全体の主たる目的である財政競争モデルに空間ネットワーク要素を取り込んだ分析を行うという点についていえば、3班が協力した基本モデルが本年度完成した。これによって、来年度以降の政策分析につながる基盤を構築できたのも、研究遂行の上でも有意義なポイントとして評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、ホテリング空間を用いた財政競争分析を可能にするモデルの構築に成功した。来年度は、モデルの精緻化を図ると同時に、基本モデルにグローバル経済下におけるキイファクターを付加していき、政策分析を行う計画である。これらの成果を夏に大分大学で開催予定である全員が参加した集中研究会で検討すると同時に、Association for Public Economic Theory (2012.6, Taipei)やAsia Pacinc Economic Association (2012.6, Singapole)などで発表していき、その後、国際学術雑誌への投稿によって研究成果の評価を受ける予定にしている。現時点では、特段大きな計画変更は予定していない。
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