研究課題/領域番号 |
22330096
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤原 賢哉 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30229067)
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研究分担者 |
高尾 厚 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20116221)
砂川 伸幸 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90273755)
畠田 敬 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90319898)
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (60294295)
山崎 尚志 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30403223)
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キーワード | 行動保険学 / 債務免除の合理性 / リスク・インセンティブ / パラダイム・シフト / 市場型間接金融 / 横並び / シンジケート・ローン / 債権売買市場 |
研究概要 |
本研究のテーマは、市場型の間接金融の手段(天候デリバティブ(証券化)、シンジケート・ローン、不動産リート)や各種のイベント(企業破たん、自社株買い、カタストロフィ)を分析対象として、市場と仲介機関の境界はどこか、金融システム全体に及ぼす含意について理論的・実証的観点から考察することにある。平成22年度は、上記の分析を行うために必要な各種のデータの購入・整備をおこなうともに、研究代表者および分担者が、研究実施計画に沿って、下記のような研究を行った。 1)市場型間接金融を阻害する要因として問題となる金融機関の横並び行動に注目し、銀行業における横並び行動について実証研究を行った。結果は、日本では横並び行動が存在し、それによって銀行市場全体のリスク分散が十分に行われない可能性がある。 2)債務超過企業におけるリスク・インセンティブを回避する手段として、銀行と企業の間で合意される債務免除の有効性(条件)について理論的に明らかにするとともに、関連する実証分析を行った。この分析は、債務超過・免除といったイベントに注目して貸出リスクの負担調整を分析したものである。 3)伝統的な保険理論に行動経済学のアプローチを援用し、保険とオプションの対応関係について考察し、保険金融機関とリスクの評価・吸収システムとしての派生市場の役割について考察を行った。本研究もリスクの市場化および金融機関と市場との境界について一定の知見を与えるものである。 4)市場型間接金融の重要な手段であるシンジケート・ローンについて、その組成構造と借り手企業の関係について検証した。わが国では、ジンジケート・ローンの組成は既存のメインバンクが行うことが多く、参加行との間で情報の非対称性の問題が存在しうること、それを緩和するために組成構造(貸出額割合等)に影響していることを見出した。この研究は伝統的な貸出と市場型間接金融(シンジケートローン)のリスク負担のあり方を比較をするうえで有益であると思われる。
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