研究課題/領域番号 |
22330098
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
細野 薫 学習院大学, 経済学部, 非常勤講師 (80282945)
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研究分担者 |
江上 雅彦 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (40467395)
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キーワード | リクス管理 / 動学的最適化問題 / 証券化 / 金融危機 / 銀行監督 / 早期是正措置 / イヴェント・スタディー / レビーモデル |
研究概要 |
第一に、リスク管理に関する銀行行動の動学的最適化問題を扱った。具体的には、まず、銀行の最適資産証券化プログラムを分析するためのフレームワークを構築し、確率的な資産のリターンとレバレッジ規制を考慮して、銀行による証券化(債権流動化)の最適なタイミングと規模を明示的に求めた。また、証券化によって創造される価値を計量化することにより、銀行が証券化を行うインセンティブを明らかにした。さらに、資産の質や経済環境を変化させることによって証券化における比較静学を行い、バブル期や金融危機下における証券化の傾向を説明した。最後に、日本の銀行の財務データと株価データを用いて、イベント・スダティーを含む実証分析を行い、理論的含意と整合的であることを示した。これらの結果は学習院大学経済経営研究所年報(24巻、2010年12月)に刊行した(細野・江上)。 第二に、監督当局による最適な介入問題を扱った。具体的には、銀行の破綻が経済に外部不経済(社会的コスト)をもたらす状況で、介入を始めるタイミングと終えるタイミングに関する動学的最適化問題を分析した。また、実証分析のため早期是正措置の対象となった日本の銀行の財務・株価データを整備した(細野・江上)。 第三に、金融機関の信用リスク管理方法に関する研究を進めた。平成23年3月に参加・発表を予定していた日本オペレーションズ学会の「2011年春季研究発表会」が震災の影響で開催中止となったため、平成23年9月16日、同学会主催の「2011年秋季研究発表会」にて、金融機関の信用リスク管理方法に関する研究発表「レヴィーモデルにおける自己資本管理問題とその解法」を行った。この論文は急激に銀行の貸出資産ポートフォリオの価値が下落する局面で、規定の自己資本比率を保持しつつ、いかに逸失利益を最小にするかというトレードオフ問題を解法するものである(江上)。
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