研究課題
本研究の目的は、大蔵省主税局『主税局統計年報書』の下位統計である、各地の税務監督局『税務統計書』所収の営業税データにもとづき、近代日本における在来産業の主要部門である商業の地域展開を数量的に実証分析することであった。具体的には、東京府、大阪府、兵庫県、愛知県、福岡県、新潟県、長野県に関して、東京税務監督局や大阪税務監督局などの『税務統計書』所収の営業税データを基礎にして、府県内の商業展開を、市郡別に(東京府なら日本橋区、浅草区のように、長野県なら諏訪郡、長野市などのように)数量的に実証することを、本研究はめざしてきた。ただし、これらの統計は、基本的に大正期をカバーしたものなので、分析が限定されてしまうことに「大いなる不足」を覚えたメンバーの総意によって、明治期は各メンバーが担当府県での資料調査から得た記述史料による記述を用いて担当府県の明治期の商業を浮き彫りにし、一方、昭和期には『昭和14年臨時国勢調査』(いわゆる商業センサス)の数値と記述史料とによって担当府県の商業の発展を詳しく調べた。結局、営業税からスタートしたこの共同研究は、各担当府県の商業の発展について、その近代の姿全般を解明するという方向に発展を遂げた。平成24年度には以下の作業を進めた。(1)東京税務監督局などの各税務監督局の『税務統計書』所収の営業税データベースを作り、これを用いて、代表者と分担者は、各府県内の商業展開を論文の形でまとめ上げる作業を進めた。(2)代表者と分担者は、平成24年度末までに数回開催した研究会で、各自が(1)の論文の内容を報告し、参加者と討議を行い、各論文をポリッシュしていった。(3)各メンバーの論文はほぼ完成しつつあり、これらの業績を、松本貴典編著『未踏の領域――商業の近代――』(日本評論社;出版契約済み)にまとめる作業が行われつつある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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『愛知県史 資料編31』
巻: 近代8 流通・金融・交通 ページ: 919~921頁
原田政美編『日本とアジアの市場の歴史』(清文堂)
巻: 市場と流通の社会史II ページ: 81~108頁
『商経学叢』
巻: 第59巻第2号 ページ: 未定
『社会経済史学』
巻: 第78巻第2号 ページ: 127~129頁