研究概要 |
本年度は,ソーシャル・メディアの有効性を解明するため,twitter,SNS,掲示板(BBS),動画サイト等に着目し,その性質や利用実態の把握,利用状況に基づくモデル化,システム設計,エージェントベースドシミュレーションなどを行った.この分野での国際的な知見を糾合するため,社会情報学におけるソーシャル・メディアに関して,国際会議HICSS45のMinitrackの公募に応じたところ,Social Media in Social InformaticsのMinitrackを設置することができ,3セッションおよびOpen Forumを開催することで,一つのまとめとすることができた. 具体的な研究成果の例としては,SNSについては,消防隊員の経験に基づく情報や知識を蓄積し,それらの伝承を行うためのモデルとSNSシステムを構築し,同システムが経験や知識の伝承において有効であることを確認した.この知見は,SNSによる経験や知識の伝承を組織化する方法の発展に貢献するものと考える.掲示板については,インターネット株式掲示板の投稿内容分析を積み重ね,株式リターンの説明可能性について検討した.株式市場の効率性に関し,ソーシャル・メディアのインパクトを解明する上で,意義のある研究成果と考える.また,ITセキュリティに関し,情報システム関係者の行動論的特性に着目したゲーム論的モデルを開発し,組織におけるITセキュリティの改善策を検討した. 知のスパイラルアップを図るための概念や方法を開発するため,社会シミュレーションの可能性について検討し,ソーシャル・メディアに蓄積されているビッグデータの活用方策を開発する端緒とした.今後は,これらの研究成果をさらに積み重ね,ソーシャル・メディアの組織コミュニケーションにおける有効性を解明するとともに,その有効利用に関する方策を考察することとする.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソーシャル・メディアに関し,twitter,SNS,掲示板(BBS),,動画サイト等の性質やそれらの活用を図るシステム設計等を行って,その有効性が確認できている.また,新たな実態調査により,組織におけるSNSによるコミュニケーションのデータが入手でき,分析に取り組んでいることなどから,研究の目的の達成につき,おおむね順調に進展していると判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については,組織におけるSNSによるコミュニケーションのデータに基づき,ソーシャル・メディアの有効性についての検証を行うこと,ソーシャル・メディアにおけるビッグデータの構造や内容分析の方法論的展開を図ること,知のスパイラルアップを図るための概念や方法を開発するため,社会シミュレーションにおける粒度や現象との接合について検討すること等を通じて,ソーシャル・メディアによる組織コミュニケーションの有効姓に関して,概念的,理論的,方策的検討を積み重ねることとしている.
|