新興国市場において活動する日本企業について、ベトナム、インドネシア、インド、ブラジルについてのケースを収集し、その地域の市場を開拓するために、日本企業がどのような形で現地の子会社を組織しているかを研究した。市場開拓について一部明確にできなかったが、特に新興国でどのように子会社が設置され、どのような労働環境の下で従業員を組織化しているかという点について一定の成果をあげることができた。 特に、新興国での市場開拓に必要な従業員の雇用について、どのような雇用制度があり、そこのどのような問題があるのかを明確にできた。特に、新興国では雇用の確保という点から、正規従業員の解雇が難しく、雇用開始の前の試用期間内に従業員の能力を見極めることが必要になっており、能力の見極めが上手くいくかどうかで、その後の市場開拓に影響を及ぼすことが明らかになった。 加えて、現地での販売を主眼とした生産拠点においては、現地でのエンジニアやマネジメント人材の不足が問題となっていた。また、上手く雇用できたとしても、このような人材にキャリアパスを明示できない日本企業は、日本企業で働いたというキャリアを持った時点で現地従業員がジョブホップするという問題に遭遇していた。現地生産拠点の人件費の高騰に伴って、現地で生産したものを現地で販売するというビジネスモデルの確立が急がれており、そのためにも技術者やマネジメント人材の確保が急務であり、この点については今後の研究課題 となった。 あわせて、現地の市場開拓は、海外進出をしている中小企業においても大きな課題となっており、その点も含めて、今後も一層の研究が必要であることが明らかになった。
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