| 研究課題/領域番号 |
22330122
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| 研究機関 | 学習院大学 |
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研究代表者 |
和田 哲夫 学習院大学, 経済学部, 教授 (10327314)
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| 研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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| キーワード | 研究開発戦略 / 特許 / 引用 / ネットワーク |
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| 研究概要 |
特許引用数は計量手段として広範囲に利用されているが、本研究は、技術者の認知空間の限界、有力特許への引用集中等に起因する引用分析の歪みを把握し、その基礎を解明するとともに、修正分析手法を考察・開発することを目的としている。計画４カ年目である本年度は、応用研究を進めるほか、ネットワーク状に引用が形成されていく引用付加メカニズムの中で重要な「既存文献をどのような方法で知り得たか」という基礎問題に改めて立ち返り、関連分野の確認と分析手法の洗練化を図った。より具体的には
(1)科学文献情報学(Scientometrics)分野に存在する科学論文引用の計量分析に関連研究が多いことが判明したことから、ウィーン大学で行われた世界的なカンファレンスに参加して研究者との交流を行った。共著ネットワークなどクラスタ性に関連する分析も多く準用可能な手法を確認したほか、引用付加のインセンティブや、知り得たかどうか、という点に着目した研究はほぼないとわかり、特許引用のうち審査官引用で行ってきた分析の枠組みの価値を確認した。
(2)シカゴで行われたルービン因果モデルに関する国際ワークショップに前年度に引き続き参加し、高度な最新手法の吸収と他の研究者との意見交換を行った。
(3)国際特許においては同一発明について各国で審査が行われるが、そこから生まれた引用の分析により、情報ローカリティによる引用の偏り状況について実証的把握を行った。成果は財団法人知的財産研究所の報告書の一部として公表された。
(4)製薬産業の企業所有構造に関する共同研究において、継続的な企業研究開発活動を特許引用データを用いて分析し、海外での学会発表を行った。
(5)先端的なネットワーク経済学に取り組むカリフォルニア大学の研究者と交流し、アイディア交換を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、国際的な特許審査引用の偏りから情報ローカリティの存在が確かめられ、海外を含めてもいままでにない成果となってきている。ただ、技術分野ごと、など集計的な分析単位に未だ頼っており、引用ネットワークの内部の個々のクラスタの生成要因への分析はこれからの課題となっているほか、それら個々の特許の経済価値との関係や、企業境界との関係は、十分解析ができていない。これらネットワーク生成の動的要因と効果の分析のため、データの準備は完全ではないが解析手法は充実してきており、最終年度の成果とりまとめに向け目的達成が可能な範囲にあると判断している。このほか、政策上、また企業研究開発戦略上の知見も並行して得られているので、付帯的な成果もあがっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
ネットワーク状に引用が形成されていく引用付加メカニズムの中で重要な「既存文献をどのような方法で知り得たか」という基礎問題には、個々の企業や研究者ではなく、探索義務を負う各国特許庁間の差異に着目することが有効な分析枠組みであることがここまででわかってきた。この枠組みに基づいて国際特許審査の時系列情報を使った情報ローカリティ分析を深め、その中で企業境界と関わる引用クラスタ性の生成要因や影響を計量的に明らかにする。この分析において、傾向スコアやマッチングなどの手法を使った因果関係の検討が重要であり、さまざまな手法を援用し解析を深める。これら中間成果の公表・検討場所としては、国内外の大学のほか、独立行政法人経済産業研究所、財団法人知的財産研究所など国内研究機関のほか、欧州特許庁・OECDなど海外機関の主催するカンファレンスに投稿発表する。
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