本研究は、企業組織の科学知識創造における研究者間の「共鳴メカニズム」に焦点をあてた比較分析を行った。「共鳴メカニズム」とは、組織に所属する研究者と組織内外の研究者との相互作用のあり方を意味している。トヨタ自動車とパナソニックの共同研究、大手食品会社A社、豊田中央研究所、IBM Researchの各研究組織の人的ネットワークの定量的分析を通じて、将来の事業の柱を構築するようなクリエイティブな研究グループの生成プロセスにおいて、媒介となる個人あるいはグループの存在が明らかになった。これらの個人あるいはグループは、幅広い専門性や統計や数理といった基盤を担う知識を保有しているという傾向がみられた。
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