研究課題/領域番号 |
22330134
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
阿部 周造 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30060015)
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研究分担者 |
守口 剛 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70298066)
恩藏 直人 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70194652)
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
阿部 誠 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70302677)
須永 努 千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (20438914)
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キーワード | 解釈レベル理論 / 心理的距離 / 顧客満足 / プロスペクト理論 / コミュニケーション戦略 |
研究概要 |
マーケティングにおける顧客満足に関する研究は、これまで様々な視点で進められてきているが、その時間的変化のメカニズムはほとんど未解明のままである。本研究は解釈レベル理論の視点から、競合する仮説間の比較研究を行いつつ、顧客満足の時間的変化要因を明らかにし、変化に効果的に対応した戦略的提案を行うことを目的としている。 2011年度の研究は次の五つの研究グループを形成して進めた。グループ(1):2010年度の研究に基づき、マーケティング・コミュニケーションの具体的な事例として写真入りのパッケージと文字だけのパッケージの効果の差を解釈レベル理論から解明し、日米のデータで比較分析を行い、ほぼ仮説通りの結果を得た。グループ(2):割引き率の捉え方について解釈レベル理論による一般的なモデルを構築し、その経験的妥当性を確認できた。グループ(3):製品購買及び意思決定の緊急性だけでなく、予想される商品の使用期間が解釈レベル理論における心理的距離として働くことを海外旅行向けレンタル・スーツケースを事例として確かめた。グループ(4):解釈レベルの測定についてこれまでBehavior Identification FOrm(BIF)尺度が用いられてきたが、項目数が多いこと、国際比較に必ずしも適していないこと等の問題を解決するために、尺度の修正改善及び新規の尺度開発を進めた。グループ(5):解釈レベル理論について関連する諸概念(比較の方向性、長期志向性、不確実性回避等)との関連を研究するとともに解釈レベル理論の国際比較研究への適用可能性を採った。以上の五つである。研究結果は国内の関連学会で発表するとともに、海外での関連学会に発表申し込み(いくつかは既に受理済み}の形でまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では顧客満足の規定要因の分析に解釈レベル理論を適用することを目標としたが、その点に関して現段階では明確な支持的結果を出すことが出来ていないことは末達成の点である。その代わり、解釈レベル理論と他の理論あるいは概念との関係、解釈レベルの測定に関わる基礎的研究等に関して一定の成果を固めることが出来た。また国際比較研究にまで研究を展開できた。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の研究成果を踏まえて、当初の目標である顧客満足の規定要因の解明に解釈レベル理論をつなげていくべく工夫する。概念間の関連、心理的距離の捉え方等について購買意思決定後に焦点を合わせて経験的研究を推進する。現在と将来時点という時間的捉え方に加えて、現在と過去という時間的捉え方を組み合わせて解釈レベル理論の適用可能性をさぐる。信頼性の高い解釈レベルの測定尺度の開発を進めるとともに、関連する諸概念のうち国際比較研究に有用性の高い概念、長期志向、不確実性回避等についてさらに国際比較研究を進める。
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