研究課題/領域番号 |
22330138
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 孝 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50216090)
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研究分担者 |
小林 啓孝 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40062187)
伊藤 嘉博 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10168388)
山本 浩二 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (20166797)
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キーワード | 管理会計 / 原価計算 / 製造間接費の配賦 |
研究概要 |
本年度の研究は、2010年度に行った質間票調査の結果を受けて、新たに発見された事項の確認をするべく、企業の減価計算担当者の方々に対するヒアリングを主として行った。各企業は、『減価計算基準』に準拠しながらも、独自の方法を開発しており、理論と実務の間には相当の乖離があることが明らかになった。また、ERPシステムと原価計算との親和性についても企業およびベンダーの両面から確認している。現状では、ERPシステムに標準装備されている原価計算のモジュールをそのまま使用している企業は少ないように思われる。その理由は、わが国企業の原価計算は、上述のように独白の方法を活用している場合が多く、ERPシステムに付属する原価計算モジュールでは、それを実行することができないからであるという回答が多く寄せられた。 他方、製造間接費の原価計算については、2010年度の研究からも明らかになっているように、さまざまな原価計算が行われている。ERPシステムに付属する原価計算モジュールを含め、いわゆる修正パーシャル・プランを利用した標準減価計算を活用する場合には、製造間接費であっても、部門別計算が行われず、ダイレクトに補助部門費が製品に対して配賦されるケースが少なからずあった。しかし、この方法はいわゆる活動基準原価計箪(ABC)とも異なるものであり、ABC的な発想を加えながらもABCほどの手間はかからないという点で、日本的な減価計算として注目に値するものであることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、本年度は、より多くの企業に訪問する予定であった。しかし、2011年3月11日の東日本大震災により、多くの企業が被災した。また、予想を超える円高のため、企業はその対応に追われている。この2つの理由によって、ヒアリングを受け入れてくれる企業が激減した。現状では少しずつ受け入れ先は回復しているため、来年度前半でリカバーできると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記で示したように、2011年度は東日本大震災の発生および円高によって、ヒアリングを受け入れてくれる企業が減少した。その後、ヒアリング対象を広げて、数多くの企業に依頼をしたため、現状では言及を推進するのに十分な受け入れ先を確保している。これらの企業に対して、現状と各企業の原価計算上の工夫について質問を重ねていくことで、今後の研究を推進していく。
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