研究課題
基盤研究(B)
平成22年度の研究目的および研究実施計画で掲げたものに関しては、おおむね全体にわたって、着実に進めることができたと考える。第一の課題である近代日本の多様で多面的な社会調査の歴史を、調査実践の経験的な事実の累積をもとに描きだす作業は、それぞれの研究分担者の領域で進め、学会発表等々でその成果を公開している。とりわけ研究代表者がまとめた『社会調査史のリテラシー』は、今後の研究会活動の基盤の一つとなる成果である。第二の、理論史としての学史とは異なる、方法史としての学史を構成する課題に関しては、具体的な研究実施計画に掲げた「社会調査室資料」(仮題)のリスト化および画像化の作業を踏まえて、データアーカイブとしての利用に向けた検討を始めている。しかしながら、単なる資料の未分化なままの蓄積に終わらない分類集成の構築は、それ自体が大きな研究課題であり、本年度の研究会活動において進めていくべき課題であると認識している。そのことも含めて第三の課題、すなわち歴史的な調査資料(原調査票データやモノグラフ研究のなかで残された関連資料その他)について、それぞれのデータの質に合わせた多次元的な利用の可能性を探究し、社会学の研究教育に活かす方法を模索するという点は、今年度に関しては、国勢調査関係資料の整理方針の検討や、都市コミュニティ調査の残存資料の予備的な検討にとどまった。しかしながら、経験研究をリードしてきた先駆者たちの理論や方法については、研究分担者の祐成准教授や米村准教授の研究が成果として公開されている。以上を踏まえて、次年度以降の研究では、今年度あるていど進めてきた文献・資料収集にさらに力を注ぐとともに、海外における社会調査の発展や、それを推し進めてきた先行研究者たちの調査もできるかぎり充実させる必要があると考えている。
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人文科学論集〈人間情報学科編〉
巻: 45号 ページ: 135-164
『愛知教育大学研究報告』(人文・社会科学編)
巻: 60号 ページ: 131-138
『日本學研究』(檀國大學校日本研究所)
巻: 31輯 ページ: 5-21
家族社会学研究
巻: 22巻1号 ページ: 96-101