最終年度となった本年度は、これまでの調査の知見を総合し、携帯電話をめぐる問題解決/社会構想を提言として取りまとめることを目標とした。 まず、昨年おこなった全国調査結果を公表するために、5月と8月に研究会を開催し、データの分析や解釈について議論をおこなった。これを踏まえ、11月に開催された日本社会学会において「全国調査にみるモバイル・コミュニケーションの現在」として5名が報告した。 また、提言をまとめるために、携帯電話を活用した社会設計に関する先進事例調査として、8月にフランステレコムやTelecom Paris Techの研究者に面会し、スマートフォンやタブレット端末の普及が進み、SNSの利用が拡大するフランス都市部におけるケータイ利用の現状の説明を受け、日本との共通点・相違点に関して議論をおこなった。さらに、10月にはフィンランドのTampere UniversityやAalto Universityの研究者、シンクタンクや企業のマーケティング担当者などを訪問し、フィンランドのモバイル・コミュニケーション研究の動向を調査し、同じく、日本との共通点・相違点に関して意見を交換した。これら事例調査については、8月と11月に研究会をおこなって成果を共有し、携帯電話をめぐる問題解決/社会構想に関する提言のとりまとめについて議論をおこなった。 3年間の活動を総合しつつ、最終的に成果をまとめ、書籍として刊行するために、5月から出版社と交渉をおこない、2013年度に出版の運びとなった。このため、本年度の後半からはそれぞれが論文執筆に入り、途中経過を電子メールでやり取りをしながら進めていった。
|