研究課題
「信頼」の研究は、社会学の根幹となる課題であり、リスク社会が拡大する今日の急激な世界的変革の中で「信頼」の構築がますます重要となってきた。我々はこれまでの研究(平成19~21年度(基盤(A))と平成22~25年度(基盤(B))において、「信頼感」を多次限的に捉え、意識調査を8カ国(日本・米国・ロシア・フインランド・ドイツ・チェコ・トルコ・台湾)で実施し、既存の「信頼感」尺度の有効性を検証し、「信頼感」と「価値観」の関連性の解明を行った。「価値観」についての質問には、社会・政治・経済問題への関心、所得格差、自身の生き方、自由に対する考え方、人間関係での互酬性、個人対公共の利益の重視、法律の順守についての意見、外国人労働者の受け入れに対する賛否、善と悪についての意見、結婚観、家族観、宗教心等との関連項目を使用し、『信頼感」にはリカート尺度を用いて主にコレスポンデンス分析を行った。その結果、「信頼感」の3段階の度合い(高・中・低)によって、価値観に関するユークリッド空間における国の布置は「価値観」の項目によっては互いに対極をなしていることが判明した。また、「信頼感」の度合いが価値観に大きく影響を与えている国とそれほど与えていない国があることも明らかとなった。一般に地政的要因、歴史、伝統、宗教によってものの見方や考え方が国を区分する傾向がみられるが、「信頼感」と「価値観」の関連においては、儒教的要素や個人主義、合理主義的要素などが基軸にあるとみることができる「価値観」の項目(自身生き方、自由に対する考え方、個人対公共の利益の重視など)と、他方では、それらに関連していない項目もみられた。本研究結果から、総合的に「信頼感」は、「価値観」と国に深く関連していることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sociological Research
巻: No.2 ページ: 10-24
データ分析の理論と応用
巻: 3 ページ: 17-47