研究概要 |
本年度は最終年度にあたり、全体のまとめを行うことを目的として、学会報告や研究会などを行った。 最大の目的は、この研究の柱である高校3年生に対する3時点(1981年,1997年,2011年)の調査結果の系統的な整理・考察である。昨年度の末に『現代高校生の進路と生活-3時点学校パネル調査からみた30年の軌跡』と題した研究報告書を刊行したが、これをもとにさらに分析や考察を加え、書籍の発刊のための原稿を完成させることを目指して数回の研究会を開催した。平成25年度のうちに原稿をすべて完成させるには至っていないが、「奨学金の利用と進学機会」「就職希望者のプロフィール」「職業希望の形成」「生活構造の分化とその要因」「高校生にみる現代若者像」など報告書段階では検討できなかったテーマも加えて幅広く分析・考察を進めている。出版社との話もまとまり2014年度中には出版できる見込みとなっている。 PISAを用いた国際比較研究であるが、中心的に分析してきた2003年や2006年のデータで行った分析を2013年12月に公開された2012年データ(数学的なリテラシー中心)で再度分析して、今後はこの新しいデータを用いて分析を進めていく方針を確認した。 さらにArnaud Lefrancらと進めてきたSSM調査データを用いた世代間所得移動の女性も含めた研究成果を国際社会学会・社会階層と社会移動部会(RC28)で報告した。国際比較の観点からみると、日本の所得移動は男女とも中程度の移動傾向を持つことが明らかになった。
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