研究課題/領域番号 |
22330163
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
中野 正大 奈良大学, 社会学部, 教授 (70039783)
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研究分担者 |
高山 龍太郎 富山大学, 経済学部, 准教授 (00313586)
加藤 一己 愛知大学, 文学部, 准教授 (10214363)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 方法論 / シカゴ学派 / モノグラフ / 社会調査 / 社会学史 / エスノグラフィ / 質的調査 / 知識社会学 |
研究概要 |
研究代表者を中心に「シカゴ社会学研究会」を年3回を開催した。2010年度の「シカゴ学派モノグラフの方法論の再検討、および、理論的視点とキー概念の明確化」、2011年度の「新たなモノグラフの検討」「シカゴ学派の創造性に関する知識社会学的探究」の成果をふまえ、本年度は、シカゴ学派の方法論について「モノグラフへの応用」を中心に検討を進めた。まず、学説史的検討として、シカゴ学派のモノグラフの代表例『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』や『タクシー・ダンスホール』などを取り上げた。シカゴ学派の方法論は実証主義的な科学観が意外に強く、必ずしもモノグラフで実際にもちいられた方法とは一致しない。これが後続の社会学者による批判を許し、1940年代以降のモノグラフの衰退につながったと考えられる。それに加えて、現代的検討として、日本社会へのモノグラフの応用可能性を考察した。研究会会員に、現在進行中のモノグラフを報告してもらい、その成否について議論した。その結果、特にモノグラフ研究が有効なのが、障害者や不登校などのマイノリティを対象とし、医学や心理学など隣接学問が相互乗り入れする分野であることが確認された。また、日本の地域研究にはモノグラフ的手法をもちいた優れたものが多い。それらとシカゴ学派との異同について考察した結果、どちらも多様な手法を折衷的にもちいて事実関係を立体的に把握する点では同じだが、シカゴ学派は後のシンボリック相互作用論につながる社会心理学的な見方が強いことがわかった。以上の検討から、社会学的モノグラフは、社会認識を深めるうえで非常に有効な方法であることが示せた。その一方で、大学の多忙化、研究費の減少、出版事情の悪化など、モノグラフ研究を進める上での現実的な障害をいかに克服するかが、今後の課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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