研究課題/領域番号 |
22330164
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
藤吉 圭二 高野山大学, 文学部, 准教授 (70309532)
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研究分担者 |
磯村 和人 中央大学, 国際会計研究科, 教授 (60241733)
水垣 源太郎 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (10294274)
安倍 尚紀 大分県立芸術文化短期大学, 情報コミュニケーション学科, 講師 (90401710)
岡田 順太 白鴎大学, 法学部, 准教授 (20382690)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アーカイブズ / アカウンタビリティ / 資料の電子化 / 記録と記憶 / 体制転換 / 人権 / 社会統合 / 国民意識 |
研究概要 |
今年度は、オーストラリアのヴィクトリア州公文書館(PROV)の推進する電子文書管理戦略(Victorian Electronic Records Strategy : VERS)のフォローアップ調査を中心に実施した。これまでにPROVを訪問し公文書館サイドからのVERS推進の取組みについて現地調査を実施してきたが、今回は導入サイドすなわちヴィクトリア州政府各機関においてこの取組みがどのように進められているか、またどのように受けとめられているかについて、導入現場での取組みを集中的に調査した。PROVの協力により交通省、ビジネス省、財務省の担当者に聴取り調査をすることができた。さらにキャンベラで海外研究協力者の田村恵子氏(オーストラリア国立大学)と合流して現地の戦争記念館を訪ね、「過去の記憶を現在の視点から展示する」という、特に政治的事象を扱う博物館には不可避の課題について調査を実施した。これらの調査と並行し、前年度(2012年2月)に実施した国際学会(The 40th World Congress of Internationa Institute of Sociology, in Delhi, India)での成果を論文集にするため、報告者およびその後に参加した執筆者との連絡・調整を進めた。来年度の前半には公刊できる見込みである。 また、マレーシア(University of Malaysia Kelantan)において国際交流基金の助成も受けながらコミュニティ研究に関する国際会議を企画し、アーカイブズの応用可能性について論考を発表した。この結果、発行される査読付きジャーナルでは、本プロジェクトより藤吉、磯村、安倍がメキシコ、シンガポール、マレーシアの研究者と共に編集委員会に加わっている。この他に、分担者各自がそれぞれの課題に応じて海外調査を含む調査研究および成果発表を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
この研究期間ではアーカイブズに関する多様な事象を総合的に研究するための事例を世界の各地において収集することに力点を置く予定であったが、その過程で海外の研究者や実務家とも予想以上に研究交流を進めることができ、特に2012年2月に実施した国際学会のセッションにおいては事例収集にとどまらず、理論的な枠組み構築についても有益なディスカッションができ、その後もメール等を通じて研究ネットワークを構築するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は4年の研究期間の最終年なのでアーカイブズと社会の関係に関する諸問題のうち政府のアカウンタビリティ確保のためのしくみとその文化的背景について、オーストラリアのヴィクトリア州公文書館の関係者を日本に招聘し、国内の数カ所で講演会および研究交流会を開催することで研究活動の小括とする予定である。また2012年2月に開催した国際学会でのセッションをベースに英文の研究報告書を作成し、研究活動のまとめとするとともに、さらなるネットワークづくりのために活用していく予定である。
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