本研究の目的は、東アジア3カ国(日本、韓国、台湾:以下「東アジア3カ国」)に国籍を有する男性と結婚した「国際結婚移民女性」ならびにその家族(以下、「多文化家族」)のウェルビーイングの維持と向上に貢献する東アジア型の多文化家族福祉に必要な援助技術の開発と体系化にある。本年度は、専門家に相談を受けたことがある、日本、韓国、台湾に居住する結婚移民女性を対象に、専門家の対応に対する満足感に関する質的調査を行い、その結果を分析した。具体的には、約80の観点から日常の生活問題を聞き取り、その生活問題に対する専門家の対応、及び望ましい専門家の対応について調査を行った。 また、カナダとオーストラリアにおいて、結婚移民女性に対する援助技術の現状と課題について質的調査を行った。 さらに、平成22年度に、3カ国の国際結婚移民女性に対して行った家族形成継続意思の要因に関する量的調査結果をより詳細に分析した。具体的には、3カ国の国際結婚移民女性の家族形成の継続に関連する因果モデルの普遍性と要素間の関連性を実証的に明らかにした。調査内容は、妻と夫の基本属性、夫の同伴行動、夫の家事ならびに育児参加、結婚に対するコミットメント、日常的な生活関連ニーズ、コミュニケーション、エスノセントリズム、男女平等意識、夫婦関係満足感、ウェルビーイング、結婚継続期間等であった。 最終的には、研究メンバーとともに、これまでの調査研究結果に関する研究会を開催する同時に、これらの研究結果を著書として出版するための打ち合わせを行った。
|