本研究の目的は、東アジア3カ国(日本、韓国、台湾)に国籍を有する男性と結婚した「国際結婚移民女性」ならびにその家族のウェルビーイングの維持と向上に貢献する東アジア型の多文化家族福祉に必要な援助技術の開発と体系化にある。 平成24年度においては、関連資料を収集するとともに、平成22年度と平成23年度に行った質的調査と量的調査結果をもとに、『グローバル時代における結婚移住女性とその家族の国際比較研究』というタイトルの著書を、共同で執筆、編集、出版した。 第1に、国際結婚移民女性とその家族の置かれている客観的状況を大きく以下の3つの観点から明らかにした。①国際結婚をした家族が家族関係を維持できる要因を量的調査より明らかにした。②ソーシャルワーカーなどの専門家が、結婚移民女性から受けた相談内容を、量的調査をもとに明らかにした。③日本と韓国に移住した女性が受けた暴力の状況、パートナーと別れた後の状況、そして日韓に必要な女性に対する暴力に対する政策について、質的調査をもとに明らかにした。 第2に、東アジアにおける国際結婚移民女性とその家族に対する政策やソーシャルワークの状況を相対化するために、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツにおける移民政策と結婚移民女性に対する政策の現状と課題について明らかにした。 第3に、東アジア3カ国(日本、韓国、台湾)の結婚移住女性とその家族に対する政策の現状と課題について明らかにすると同時に、東アジア3か国における結婚移住女性とその家族に対するソーシャルワークの現状と課題について明らかにした。 また、日韓の専門家に対して、本研究の調査結果について報告するとともに、その内容に関して議論を行った。
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