1. 本研究目的 日本在住の典型的少数民族集団(エスニック・マイノリティ)である難民・難民認定申請者の日本社会への適応と定住状況について、身体的、心理的、社会的側面から参与観察とインフォーマルなインタビューによる実態調査を行なう。 2. 研究実施状況 (1)研究1:インドシナ難民、条約難民、難民認定申請者についての調査 当事者および、各少数民族集団コミュニティのキーパーソンへインタビューを行い、インタビューガイドを作成した。またベトナム、ミャンマーコミュニティで参与観察も開始している。両調査から、日常生活から見える日本と母国の価値観の相違が見えつつある。さらに、本年度は難民の生活のリアリティを知るために「難民理解講座シリーズ1~4」を開催し、難民らとの語らいの中で、彼らの日本社会への適応状況について理解を深めた。 (2)研究2:カナダの難民受け入れと支援に関する調査 平成22年度はカナダの難民受け入れと支援について公的・私的支援団体、難民・移民らの心身の治療を行っているクリニックを訪問しスタッフにインタビューを行った。カナダでも難民認定申請者の認定率は決して高いとは言えず、審査期間の経済的支援なども十分ではない。しかしながら、受け入れ後の医療・保健・福祉サービスは難民にとって理解しやすい、使いやすいものであり、実際に活用されていることが分かった。カナダでは行政と地域の連携、医療ネットワークが構築されておりエスニックマイノリティの文化に対する感受性の高さがうかがわれた。
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