研究課題/領域番号 |
22330169
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
野田 文隆 大正大学, 人間学部, 教授 (30317648)
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キーワード | 難民 / 暮らし / こころ / 福祉的支援 / コミュニティ |
研究概要 |
1.本研究目的 日本在住の典型的少数民族集団(エスニックマイノリティ)の難民・難民認定申請者につき調査研究を行なう。難民にはインドシナ難民(社会主義体制に移行したベトナム、カンボジア、ラオスにおいて、新しい体制の下で迫害を受けるおそれのある人々や新体制になじめず脱出した人々)、条約難民(難民条約に基づき難民と認定された人々)、難民認定申請者(庇護を求めて国籍外の国で難民認定申請を行なった人々)などが存在する。彼らの日本社会への適応と定住状況について、身体的、心理的、社会的側面から参与観察とインフォーマルなインタビューによる実態調査を行なった。。 2.実施内容 インタビューガイドを作成、プレテストの結果、加筆修正を行った。平成23年9月より関東圏在住の難民に対して「暮らし、こころ、福祉」に焦点をあてた聞き取り調査を開始した。1)調査対象者:インドシナ難民、条約難民、難民認定申請者の18歳から65歳までの男女。選定の基準として、日本での在留期間<短期間(3年未満)、中期間(10年未満)、長期間(30年未満)>を考慮する。2)調査手法:各コミュニティにて参与観察を行う。さらには通訳を同席させ母語でのインフォーマルなインタビューを行なう。3)調査内容:①デモグラフィック・データ(国籍、性別、年齢、学歴、婚姻、在留資格、同居状況日本における仕事、日本における住まい日本での滞在期間日本語のレベル<会話能力、読解能力>本国での仕事など)、②既往歴、治療歴、現在抱える疾患について、③異文化適応とメンタルヘルスの問題について、④医療、保健、福祉サービスの活用状況と、人的支援の受給状況について。4)分析方法:データを文章化し、カテゴリー分析を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究成果 日本の難民認定申請過程や生活支援体制など我が国の抱える問題は多々ある。しかしながら、難民支援においては次の3点が重要であることが見えてきた。 1)難民の経験に基づいた語りによく耳を傾け、彼らの価値観、慣習への理解を深めるといった歩み寄りが、ホスト国文化への統合という形での文化変容を起こす可能性がある。2)難民化の経過について語ることへの辛さを理解し、「語られなかったこと」にも心を留める必要がある。3)難民らを「困難を抱えた人々」と捉えず、困難を乗り越える主体としてとらえ、彼らの「強さ」に力を添える形での支援が望ましい。
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今後の研究の推進方策 |
難民への福祉的支援においてコミュニティ支援は欠かせない。コミュニティ・リーダーと連携協同し支援の在り方について検討していく必要がある。
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