22年度は、障害者(身体障害、知的障害、精神障害)に対するケアマネジメントモデルおよび社会福祉学分野における「ソーシャルキャピタル」概念に関する国内および海外(主に、アメリカ、韓国、イタリア)の文献を収集すること、および、収集された文献からケアマネジメントモデルにおけるインフォーマルな社会資源の内容の整理と「ソーシャルキャピタル」概念との関係を整理することを目的に研究を実施した。 ケアマネジメントモデルとしては、パーソンセンタードプランニング(以下PCP)に関しての文献収集と理論的な整理を行い、このモデルをもとに事例分析も一部実施し、ソーシャルキャピタルとの関係に関して予備的な調査を実施した。その結果、PCPには多様な手法が存在し、いずれの手法もインフォーマルサポートの有効性が指摘されていた。あわせて、自立生活をしている重度障害者に関するケアマネジメントモデルに関する文献収集と理論的な整理を行い、事例分析により考察を行った。その結果、重度障害者の地域自立生活を決断し、遂行するためには、地域環境においてソーシャルキャピタルの豊富な地域での生活を選択している可能性が示唆された。また、ソーシャルキャピタルの有効性を検討するために、当事者のクラブハウス活動に焦点をあて、韓国とイタリアにおける精神障害者に関わるクラブハウスの実践活動に関しても事例的な調査を実施した。その結果、クラブハウスとしての理念は共通していても地域のインフォーマルサポートの関わり方によって、実践活動の違いがみられていた。今後、さらに国の違いや地域特性の違いに焦点をあてて研究を深める必要がある。
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