研究概要 |
研究目的 本研究の2010年度の目的は,(1)これまで蓄積してきた既存データを活用した認知症発症と関連が示唆されている介入可能な心理社会的因子に着目した認知症予防指数の開発を試みること,(2)既存調査15自治体に加えてあらたに都市的地域の高齢者を対象とした調査を実施して,今後の縦断研究に向けたベースラインデータを得ることなどであった. 研究方法・結果 (1) 既存データの分析では,5介護保険者居住65歳以上高齢者13,295名を2003年~2007年の4年間追跡し分析した.その結果,4年後の認知症発症が673名,それ以外の生存自立などが12,621名であった.認知症発症の予測因子では男女に共通して趣味なし,書類書かない,買い物しない,食事用意しないなどの心理・生活機能であった.ポイント化(14点満点)によるは発生率では,男性で0~4点が2.3%,5~9点が10.3%,10~14点が48・1%,女性ではそれぞれ3.0%,15.8%,39.7%でポイントが増えるに従って発生率は高まった.これを学会で発表し認知症予防の手がかりとして示した.(2) 都市的地域の調査では,新たに4自治体の要介護認定を受けていない65歳以上高齢者13,184名を対象に郵送調査を実施,回収が8,355名,63.4%という高い回収率で今後の縦断研究に向けたベースラインデータを得ることができた. 結論 認知症予防では,心理面や生活機能に着目する重要性が示唆された.また,調査において縦断研究に必要なベースラインデータを得ることができ学術的なエビデンス作りが期待される.
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