研究課題/領域番号 |
22330177
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
杉野 昭博 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30247895)
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研究分担者 |
伊藤 葉子 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (80319144)
小川 喜道 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (10329302)
小山 聡子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70287803)
岩隈 美穂 京都大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60512481)
河口 尚子 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (30510870)
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キーワード | 障害児・障害者福祉 / 障害者運動 / ソーシャルワーク / 自立生活運動 / 障害学 / 専門職 / 文化 / 葛藤 |
研究概要 |
研究プロジェクト2年目の2011年度は、研究目的である「障害者運動とソーシャルワークの協働と葛藤」について、研究メンバー全員が共有できる研究課題として「日米自立生活セミナー開催経緯における障害者運動と専門職の協働と葛藤」を設定し、当時の事情をよく知る3名の方からヒアリングをおこなった。ヒアリング対象の内わけは、専門職の立場から1名、障害者運動の立場から2名である。専門職と障害者運動のヒアリング対象各1名は、ともに、日米自立生活セミナーの実行委員であり、開催経緯をそれぞれの立場からうかがった。また、障害者運動のヒアリング対象であるもう1名は、セミナーそのものの実行委員ではないが、横浜セミナーの開催委員であり、ローカルな障害者運動家がセミナーをどのようにとらえていたかお話を聞くことができた。日米自立生活セミナーに関する歴史的研究がなく、ヒアリングデータそのものが貴重な研究資料である。また、日米自立生活セミナーの開催経緯を、「障害者運動と専門職との協働と葛藤」という視点からとらえた研究はなく、この点に本研究の独自性がある。ヒアリングデータの一部は、すでに小山(2012)にて公刊されており、2012年度にはさらなる研究報告を予定している。 このほか、昨年に引き続き、アメリカとイギリスにおける障害学の研究動向を、「専門職との協働と葛藤」という点に焦点をあてて調査したところ、イギリスにおいては、「遺伝性の障害」をめぐって障害者運動と専門職との対立が見直されている点、アメリカにおいては、「自立生活障害者の高齢化・二次障害」と「自立生活運動のアジア移転」の二つの研究テーマが専門職との関係で注目されていることがわかった。また、韓国についても調査をおこない、「韓国における障害学」と「自立生活運動の日韓への移転」という二つの研究課題に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日米自立生活セミナーにおける障害者運動とソーシャルワーク専門職との協働と葛藤については検証がほぼ終了している。イギリスでは、障害学とソーシャルワークとの協働事例を把握した。アメリカに関しては期待した協働や葛藤の事例は見つかっていない。障害学とソーシャルワーク理論の学説史的検証はほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
自立生活運動の日本への移入過程における障害者運動とソーシャルワーク専門職との協働と葛藤を検証する上での比較参照例として、韓国への自立生活運動の移入過程に着目する。また、アメリカ特有の障害学理論として、「人文学としての障害学」に着目し、アメリカにおける障害学とソーシャルワーク理論との学説史上の接点を探る。
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