本研究の目的は、「子育て支援総合コーディネート事業」を、ソーシャルワーク実践の視座から捉え直し、総合コーディネーターのためのソーシャルワーク実践モデルを研究開発することである。 本研究の初年度である平成22年度は、実践モデル研究開発手続き(M-D&D)に基づき当初の計画通り、地方公共団体における「子育て支援総合コーディネート事業」の実態を把握し、問題点の理解と実践モデルを開発するための基礎データ収集のために、全国1717市区町のすべてを対象に郵送による質問紙調査を実施した。質問紙作成にあたっては、文献調査に加え、自治体、子育て支援現場、子育て支援総合コーディネート研修に携わる研究者に対してヒアリングを実施した。 調査票は市区町担当者用とコーディネーター用を作成し、市区町担当者に一括して送付し、担当者からコーディネーターへ配布してもらった。回収率は、担当者用質問紙は50.8%、コーディネーター用は13.6%であった。予想通り、本事業の実施を十分に行えている自治体は極僅かであり、コーディネーターとして人を配置している自治体は極めて少なかった。こうした実情の原因は、財源と人材の不足であり、これも予想通りの結果となった。また、ソーシャルワーク的視点の弱さも明確となり、今後の実践モデル開発にとって重要な情報が豊富に得られた。報告書を刊行し、ホームページも開設して掲載しているので、詳細はそちらを参照されたい。データの多変量解析の結果は学会報告を予定している。
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