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2012 年度 実績報告書

現代日本人の価値観:古層と伝統的思想(仏教、儒教、神道・国学)の影響

研究課題

研究課題/領域番号 22330180
研究機関東北大学

研究代表者

大渕 憲一  東北大学, 文学研究科, 教授 (70116151)

研究分担者 佐藤 弘夫  東北大学, 文学研究科, 教授 (30125570)
三浦 秀一  東北大学, 文学研究科, 教授 (80190586)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード価値観 / 仏教 / 儒教 / 神道 / 中国 / 韓国 / 比較文化 / 東アジア
研究概要

アジア諸国の共通点と相違点を明らかにするために日中韓の国民を対象に、それぞれの言語で作成した伝統的価値観尺度を用いてインターネット調査を行った。調査は2012年11月に実施され、3か国合計1446名が回答したが、不完全な回答を除き,最終サンプルは日本人454、中国人479、韓国人486、合計1419名となった。伝統的価値観尺度は大渕・川嶋(2009)の尺度から37項目(儒教的価値4下位尺度、仏教的価値4下位尺度,神道・国学的価値5下位尺度)を抜粋し、各項目について「全くそう思わない(1)」~「強くそう思う(6)」の6件法で評定させた。これとの関連を検討するために、集団主義・個人主義、職業志向性、公正観、公共場面における行動基準、(反)闘争性、死に対する態度、外国人受容態度、回答者属性(性別,年齢,学歴,年収,職業など)も測定した。
儒教の下位尺度ごとに国x年代x性別の分散分析を行ったところ、忠孝と義務に関しては40代以上の男性は20代男性よりも高く,この価値はどの国でも男性年長者に強く支持されていた。天意・天命は中韓よりも日本人において高かった。恥と世間は中韓が日本人よりも、男性は女性よりも,更に年長者の方が高い傾向があった。賢君思想は中韓が日本人より(中国では特に女性)、また年長者に強く見られた。
仏教的価値のうち輪廻と法力は,日韓が中国人より、また女性は男性よりも支持していた。修身と慈悲は日本人(特に女性)が中国人よりも強かった。厭世主義は日本人が強く,また若い世代に顕著だった。空と超俗は中国人が強かった。
神道・国学の中の社会的調和は韓国人が中国人より,また女性が男性よりも強かった。相対主義は全体としては日中が強く,韓国では若い世代に強かった。集団的功利主義は中国人が最も強かった。日本では若い世代に支持が見られた。楽観主義と歴史に這い発性は中国人が強かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作年度は中国,韓国,日本において伝統的価値観を測定してそれらの間の比較を行い,更に,回答者の社会生活の諸側面を調べてそれらと伝統的価値観の関連を検討する計画を立てていたが,これら3カ国において成人を対象とするインターネット調査を実施して合計1419名から回答を得た。それらの分析を通して上記のような知見を得たが,同じ文化圏とはいえ,伝統的価値観においてそれぞれ特徴が見られた。また,神道は日本固有のものだが,同じ思想内容の価値観が中国,韓国にも相当程度見られたことは興味深い。伝統的価値の生活の諸側面との関連については分析がまだ残っているが,全体としては計画は概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

昨年度は仏教,儒教など歴史的に共通性の高い文化を持っている東アジア3カ国を対象に調査を行って現代人の伝統的価値を比較した。その結果は,前項で述べたように,同じ文化圏の中に価値観の差異が見られ,各国が辿ってきた思想史的変遷を反映しているものと思われる。本年は,全く異なる文化圏(アメリカ)に住む人々を対象に調査を行い,これら東アジア諸国との比較を行う予定である。また,本年度は最終年にあたることから,これまでの知見を整理して伝統的価値観に関する統合的に理解を目指し,本研究計画の成果を明らかにすることを目指す。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 心理学における正義研究パラダイム2013

    • 著者名/発表者名
      大渕憲一
    • 雑誌名

      法社会学

      巻: 78 ページ: 74-83

  • [雑誌論文] よりよい社会を求めて2013

    • 著者名/発表者名
      大渕憲一
    • 雑誌名

      佐藤嘉倫・木村敏明(編)『不平等生成メカニズムの解明:格差・階層・公正』

      巻: ミネルヴァ書房 ページ: 321-336

  • [雑誌論文] True and hollow forgiveness, forgiveness motives, and conflict resolution2013

    • 著者名/発表者名
      Takada, N. & Ohbuchi, K.
    • 雑誌名

      International Journal of Conflict Management

      巻: 24 ページ: 184-200

    • DOI

      10.1108/10444061311316799

    • 査読あり
  • [雑誌論文] When does anger evoke self-interest and fairness motives? The moderating effects of perceived responsibility for needs.2012

    • 著者名/発表者名
      Uehara, S., Nakagawa, T., Mori, T., & Ohbuchi, K.
    • 雑誌名

      Japanese Psychological Research

      巻: 54 ページ: 137-149

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 祟り・治罰・天災―日本列島における災禍と宗教2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤弘夫
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 373 ページ: 133-156

  • [雑誌論文] Kami that beckons from the far shore.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato, H.
    • 雑誌名

      Bulletin of Death and Life Studeis

      巻: 8 ページ: 37-61

  • [学会発表] 法と正義の相克

    • 著者名/発表者名
      大渕憲一
    • 学会等名
      日本法社会学会学術大会
    • 発表場所
      京都女子大学
    • 招待講演
  • [学会発表] Effect of perceived morality of conflicted outgroup on support for reparation policies

    • 著者名/発表者名
      Kumagai, T. & Ohbuchi, K.
    • 学会等名
      The 20th Conference of International Society of Research on Aggression
    • 発表場所
      University of Luxenburg(クルセンブルク)
  • [学会発表] 蛇形のアマテラス―日本列島におけるカミの誕生と変貌

    • 著者名/発表者名
      佐藤弘夫
    • 学会等名
      東亜道文化国際学術討論会
    • 発表場所
      北京(中国)
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本列島における幽霊の発生

    • 著者名/発表者名
      佐藤弘夫
    • 学会等名
      国際シンポジウム 東アジアにおける宗教と文化
    • 発表場所
      台北(台湾)
    • 招待講演
  • [学会発表] 模倣と自得―万暦三十八年実施の科挙から見た明代思想史の基層―

    • 著者名/発表者名
      三浦秀一
    • 学会等名
      第57回国際東方学者会議東京会議
    • 発表場所
      日本教育会館
  • [図書] 哲学資源としての中国思想2013

    • 著者名/発表者名
      吉田公平教授退休記念論集刊行会(三浦秀一が編者として参加)
    • 総ページ数
      436
    • 出版者
      研文出版
  • [図書] ヒトガミ信仰の系譜2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤弘夫
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      磐田書院

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公開日: 2014-07-24  

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