研究課題/領域番号 |
22330182
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大坊 郁夫 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (50045556)
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研究分担者 |
磯 友輝子 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (00432435)
谷口 淳一 帝塚山大学, 心理学部, 准教授 (60388650)
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キーワード | 対人コミュニケーション / 社会的スキル / コミュニケーション力 / well-being / 場の活性化 / 非言語コミュニケーション / 発話行動 |
研究概要 |
今年度は、下記の実験を実施し、前年度の成果と併せて、いくつかの考察を行った。a)同性による2者間会話(実験参加者は大学生120名、男性50名、女性70名、会話時間は12分間)。自他の認知評定からすると、会話相手の表現力が低い、自己抑制の傾向がある、外向性が低い場合に、より相手に合わせた行動をする傾向が示された。b)異性による2者間会話(大学生と大学院生の男女各30名の計60名が対象。会話は2分間,10分間の2セッション実施。対人距離、腕の動き、発話時間、発話内容取得のために3Dトラッカ、・加速度センサ、マイクを使用)、会話相手への親密さはうなずき(+)、個人の発言時間(-)と有意な関連が見られ、関係を開始し場を維持するためには男女ともに腕の動きの多さが有効であることが示された、c)4人集団によるコミュニケーション実験(ラウンジ形式の場面を設定)をさらに7組実施した(前年度の結果と含めて検討した。特定の課題を与えず、互いの知り合いになるようなチャット場面とした)。この結果を既設の測定装置により手腕動作、視線方向、および、観察者によるコーディングにより解析した。なお、参加者の個人特性、相互の認知評定を求め、得られた言語/非言語指標の特徴把握、評定値との関連についても検討した。課題解決に正解できた組は、積極的に発言し、それに伴って葛藤、緊張を生じやすい。かつ、他者に対する配慮にメンバー間の差は少ない。また、課題解決を要することによって葛藤が生じやすいものの、積極的に関与し、意見や葛藤の調整をすることから満足感も大きく、社会的スキル・トレーニングに多面的に有用であることが分かる。解決課題のない場面では個人特徴の影響が示されやすいことも示唆された。これらのことから、課題としての難易度の高くない話し合い場面では適度な競争と配慮がなされ、集団活動の基礎力向上に効果を有すると考えられる。難易度が高い場面は、自己主張、集団生産性向上には適している反面、配慮的側面を補うプログラムを用意する必要が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2,4人の会話行動データをほぼ収集できた。言語、非言語行動指標については、膨大なデータ数であり、特にコーディングに人手、時間がかかるが、その性質を勘案した上で、概ねの進捗段階と言える。また、研究会、学会誌に複数の成果を掲載できたこともほぼ順調と評価できる点である。
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今後の研究の推進方策 |
膨大なデータを手際よく整理し、かつ、多様性を含む「場」の活性化をいくつかの視点から整理し、体系的なモデルを構築する。さらに、円滑なコミュニケーション力を測るための指標の提案を次年度には行う。なお、膨大なデータを測定、コーディングするために時間と人手(相応の訓練を経た人材を養成することも含む)の確保が課題である。
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