研究課題
平成22年度は1.研究全体の準備となる資料データベースの作成と、2.データベース化された資料の予備的な検討を通した分析仮説の生成を行った。1.については、必要な資料の収集を終え、データ入力作業も取り調べ録音テープ反訳の入力を除き、完了した。取り調べ録音テープについては最高検察庁に研究利用許可の申し入れを行ったものの年度内には回答を得られず、データベースに入力されていない状況にある。完成したデータベースはインターネットに接続せずに利用できるよう指紋認証機能付きポータブルハードディスクに収録し、研究代表者・分担者の研究室に配置した。2.については取り調べにおける被疑者と取調官の直接的なコミュニケーションを基本的な分析レベル(分析単位)とし、この特性をある程度解明した上で、それとより広い組織的、制度的文脈および被疑者・取調官の内的過程との結びつきを解明するという分析戦略を設定した。この戦略に基づき、現在利用可能となっている検察官取り調べテープの反訳資料の検討を集中的に行い、被疑者と取調官の間でコミュニケーション・フレームへの参加様式に大きな食い違いがあり、それによるコミュニケーションの混乱が虚偽自白の発生および発見失敗に関与している可能性が高いという仮説を生成した。この研究成果について法と心理学会第11回大会ワークショップ「『司法事故調査的』事例研究への心理学的アプローチ(1)足利事件における虚偽自白生成および発見失敗現象を事例として」〔平成22年10月16日開催〕で報告した。
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Culture & Psychology
巻: 17-1 ページ: 11-19
質的心理学フォーラム
巻: 2 ページ: 27-36