研究概要 |
本研究は、幼児期の子どもがいる家庭を対象に5年間の縦断的調査を実施し、家庭一園・学校などの教育機関一地域の相互関係性やそれぞれのあり方が、幼稚園期から小学校期への子どもの社会性の諸側面の発達にどのように影響するのか、子どもの個人的特性(気質・遺伝・問題行動の萌芽的形態)との相互作用を含めて検討するものである。 開始年度にあたる今回は、研究に既に登録された約160家庭への質問紙調査と、インテンシブ・グループ約20家庭に観察調査を実施した。質問紙調査における仲間ネットワークの結果に注目すると、月齢が30~58カ月の単胎児と双生児では、仲間数に有意な差は見られなかった。一方、仲間の多様性(種類の多さ)に関しては、双生児の得点が有意に高かった(t[118]=2.79,p<.01)。また、双生児に注目して卵性ごとの対内相関を検討した結果、一卵性(MZ)と二卵性(DZ)ともに、きょうだい内の仲間数(MZ : r=1.00,p<.01; DZ : r=.92,p<.01)と仲間の多様性(MZ : r=.94,p<.01; DZ : r=.83,p<.01)は極めて類似する傾向が見られた。しかし、統計的な差異はないものの、幼児期の時点においても二卵性きょうだい間の相関が若干低いこともあり、加齢とともに差異が広がる可能性が示唆される。 また、22年度は、新たに約180家庭から研究参加の承諾を受け、対象児が2歳もしくは3歳の誕生日を迎えた時点で質問紙調査を実施した。23年度も継続的に調査対象者を獲得していく予定である。
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