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2011 年度 実績報告書

東アジアの大学授業を結ぶ対話共同体への参与過程として生成される集団間異文化理解

研究課題

研究課題/領域番号 22330190
研究機関共愛学園前橋国際大学

研究代表者

OH SUNAH  共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (90363308)

研究分担者 高木 光太郎  青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30272488)
伊藤 哲司  茨城大学, 人文学部, 教授 (70250975)
榊原 知美  東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20435275)
余語 琢磨  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00288052)
奥田 雄一郎  共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (30458442)
キーワード文化的他者 / 集団的対話構造 / 対話共同体 / 異文化<間>理解 / 異己との共存 / 文化対立的素材 / 文化中立的素材 / 教育心理学的実践
研究概要

本研究では日韓中越の大学における通常の授業を通して、各種の「集団的対話構造」を生み出し、そこに異文化的背景をもつ受講生や授業担当者が「参加」して構成する「対話共同体」を生成することにより、各個人の新たな共同性構築を促し、個人的な「異文化理解」を集団的に「異文化く間>理解」の次元に引き上げることを目指すことによって、新たな教育心理学的実践および理論研究を行うことを目的としている。
平成23年度は22年度に実施した試験的交流授業の検討結果を踏まえ、日韓1ペア、日中4ペア、日越1ペアがそれぞれ交流授業を実際し、集団間と集団内で現れる文化的他者性について検討を進めた。各大学の受講生がパートナー国との文化的差異に焦点化したトピックを巡って、とくに「ズレ」「違和感」に定位した討論を行い、さらに、その内容をめぐってパートナー国の受講生と討論する「集団的対話構造」の構築を試みてきた。
こうした実践的な配慮も組み込んで実施された各ペアの実験授業から現時点では以下のような成果と課題が見いだされている。
(1)円卓シネマ方式よりも簡略化した素材を用いても集団間対話構造を生成することが可能である。
(2)集団的対話構造のなかで相手文化の特性に関する受講者たちの認識は当初「信じられないこと」「理解不能なこと」「不快なこと」として立ち現れ、次に視点を変えれば了解可能であるという認識に変化し、さらに「了解可能であるが自分にはできない」という葛藤状態に陥る。(3)しかし、現在の方法では受講者の認識が「了解可能ではあるが自分にはできない」異質な他者といかに関係を築いていくのかという、「異己との共存」の模索の水準には至らない。
これに加え、実践上の工夫として二つの文化の間の差異を顕在的に示す「文化対立型」の素材だけではなく、参加している双方の文化にとって共に異文化となる第三の文化に関する「文化中立型」の素材の活用も現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日韓、日中、日越など二国間での交流授業を実施している。レポート交換や手紙形式で相手側への質問・回答、スカイプを通したインタネット上の討論などで交流授業は順調に進んでいる。ただし、レポートやスカイプ討論などは、翻訳・通訳が必ず必要である点と、数週間にわたる交流授業であるので、当日のテーマや相手国からきた質問などが重なり議論が複雑になり、交流授業そのものの準備に時間がかかっており、授業の分析や理論的見通しの検討がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

二国間交流授業において展開する異文化理解の生成プロセスを詳細に分析することによって、個人の理文化理解の水準には還元されない文化の共同的理解の性質、および、そのような理解が文化的他者との対話関係を通して集団的に生成されるメカニズムを解明することが今年度の課題である。今年度(H24年度)の前半まで交流授業実施を終え、後半は交流授業での体験やプロセス分析に重点を置く。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 対話共同体への参加を通した集団間異文化理解の生成(1)~日本、中国、韓国、ベトナムの大学を結ぶ対話型授業実践を通して~2012

    • 著者名/発表者名
      呉宣児・高木光太郎・榊原知美・余語琢磨・伊藤哲司
    • 学会等名
      日本発達心理学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2012-03-10

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2014-08-15  

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