研究課題/領域番号 |
22330196
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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研究分担者 |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心理的ウェルビーイング / ポジティブ健康心理学 / フィールド‐実験的研究 / アロスタシス反応 / 多施設共同研究 / 縦断的介入研究 / エキスパートシステム / 心理社会的要因 |
研究概要 |
今年度はまず、平成24年度と同様に、心理的ウェルビーイングと心理生物学的ストレス反応との関連性をフィールド-実験研究パラダイムによって継続してデータを集積した。その結果、これまで得られている知見、すなわち、心理的ウェルビーイングは急性ストレス反応を緩和することが追認できた。 さらにまた、大学生を対象として、多理論統合モデル(TTM)に基づいた心理的ウェルビーイングの向上とストレスの緩和を目的としたエキスパートシステムプログラムの有効性を検討した。参加者は、無作為に介入群(54名)と統制群(39名)に割り振られた。介入群はインターネットを通じて、ステージにマッチした行動変容プログラムに従って3ヶ月間セルフヘルプ学習する。対照群は、TTM関連質問紙への回答のみを行う。主要な結果指標は、ストレス反応の自覚、心理的ウェビーイング(主観的幸福感とネガティブ感情およびポジティブ感情によって評価)および効果的ストレスマネジメント行動を実施している人の割合について、介入前後の変化量であった。完全ケース分析とintention to treatment分析を行った。 プログラムからの脱落者は、統制群で64%、介入群で38%であった。いずれの分析とも、ストレス反応の減少量は時間の主効果のみが有意で、群の主効果と群×時間の交互作用は有意でなかった。主観的幸福感とポジティブ感情得点は上昇する傾向、ネガティブ感情得点は低下する傾向にあった。効果的なストレスマネジメント行動を実施している参加者の割合は、対照群と比較して、介入群で多かったが有意差はなかった。参加者によるプログラム有効性の評価はかならずしも肯定的でなかった。 これらの結果から、TTMによる心理的ウェルビーイングの向上とストレスのコントロールを目的としたエキスパートシステムプログラムの有効性は限定的であること、プログラム改善の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度終了時点で、介入研究の調査はおおむね順調進展している
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今後の研究の推進方策 |
26年度から心理的ウェルビーイングとストレス、および健康―病気の結果との関連性についてメタ分析を行いながら、データ解析と報告書を作成する。
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