今年度は、2年間で収集した旧日本植民地教科書または教科書の複写資料及び「新教育」関係資料に基づいて論文を執筆し、最終成果報告書を作成した。 研究会・編集会議を以下の日程で開催した。第1回全体研究会は平成24年6月23日(土)13:30~17:00こども教育宝仙大学で、第2回全体研究会は平成24年6月24日(日)9:00~15:00神戸大学東京六甲クラブで、第3回全体研究会は平成24年10月13日(土)13:30~17:00こども教育宝仙大学で、第4回全体研究会は平成24年10月14日(日)10:00~13:00こども教育宝仙大学で、第5回全体研究会は平成25年3月16日(土)14:30~18:00中京大学で、第6回全体研究会:平成25年3月17日(日)9:00~15:00中京大学で、編集会議は平成24年12月27日(木)10:00~13:00 北海道大学東京オフィスで。他メールで数回。 全体研究会では、6月までは各自の論文の進捗状況、論文構想の報告を主として行い、10月以降は成果報告会として行った。12月に成果報告書の目次構成を確定し、翌年2月上旬上梓し、3月中旬に発行した。 本研究のねらいは、教科書及びその実践における「新教育」の影響を抽出し、その意味を検討することであったが、「新教育」が「児童中心主義」と「詰め込み教育批判」という特性をもつとともに、その目的が「海外に雄飛して日本の国家の発展に役立つような人物を育てる」ことにあり、またそれらが植民地という現実の中でいかに「緊張と適合」がなされたのかという複雑な関係があり、その解明をかなり困難なものとした。成果としては、20年代~30年代における台湾、朝鮮、満州への「新教育」の影響に地域的差異があることが明らかになったことである。しかし、その「異同性」の意味については充分に深めることは出来なかった。今後の課題である。
|