研究課題
本研究の最大の成果は、高等中学校研究の新たな地平を切り開いた点にある。従来、高等中学校とは、帝国大学に接続する予備機関として捉えられていた。本研究は、帝国大学に接続する学校として捉えるのではなく、地域史的視点から捉え直すことができた。高等中学校は、地域間協力により設立された専門教育機関であり、一定の地域の社会的必要性に対応していたという点である。この課題に対し本研究は、第一・第二・第三・第五の各高等中学校に関する第一次史料を全員で調査・分析し、第四高等中学校・山口高等中学校・鹿児島高等中学造士館に関しては担当会員による史料調査をほぼ終えることができた。その成果は、会員の著書や論文、科学研究費補助を受けて5号まで公刊した『一八八〇年代教育史研究紀要』において公表してきたとおりであり、その結果、これまでとは全く異なる高等中学校像を提示できた。より具体的に整理すると、高等中学校設置府県の同校に対するスタンス・高等中学校設置区域府県の尋常中学校・医学など専門教育機関との関係・各校の教育内容と方法および水準・入学者と卒業者の動向分析・学生生活の実態、という課題が解明されたことである。次に残された課題を整理する。第一に、高等中学校全七校を対象とする包括的な全体研究ができなかったという点である。その最大の理由は、史料の出方が学校により差があったことを克服できなかったという点である。高等中学校全七校の史料が同じようにどこでも出てくるものではないことは当然だが、その問題を克服できなかった。第二は、教育内容・方法分析の弱さである。教科書や教育課程表は一部発見できたが、それらの位置付けが不十分てあった。今後、横断的分析などでこの点で深化させたい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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一八八〇年代教育史研究年報
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