研究課題
基盤研究(B)
今年度は研究初年度であり、研究を進めるにあたっての史資料の収集と各自の基礎的研究を進めた。研究代表者である大内裕和は共同研究全般にわたる史資料の収集に努めた。大内裕和「厚くなった教科書の中身は?」は、1950年代以来教育の領域で多くの議論を生んでいる教科書についての研究業績である。現代的問題を扱ってはいるが、そこには1950年代以来の教育論争が色濃く反映していることを意識している。鳥羽耕史「『綜合文化』と花田清輝の芸術運動」は、花田清輝の文化運動を『綜合文化』という場との関わりで位置づけている。『綜合文化』という雑誌は、民衆の自己教育運動の場として考えることも可能であり、地域文化活動を課題とする本研究にとって、貴重な研究業績である。長志殊絵「<過去>を消費する」は文化運動としてツーリズムを対象として取り上げており、本研究と密接に関わる研究業績である。ツーリズムも民衆の自己教育運動の一環であり、人々の日常生活や余暇を歴史的視点から読み直す研究ともなっている。水溜真由美「「筑豊」を問い直す」は、森崎和江の活動を、「地域」との関わりで捉えなおした研究業績である。社会運動史や民衆運動史の読み替えとしても貴重な試みである。黒川みどり『近代部落史』は、近代部落史全般について論じたものであるが、1950年代の部落史についても新たな提起を行っている。部落史にとって重要な研究業績であると同時に、1950年代についても新鮮な視点を提供している。石原俊「小笠原-硫黄島から日本を眺める」は、小笠原-硫黄島という「周縁」から国民国家システムを捉え返す研究業績である。地域から日本を照射する試みであり、本研究を今後進めるにあたって大きな貢献である。
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思想
巻: 1042号 ページ: 94-120
社会文学
巻: 33号 ページ: 163-165
婦人之友
巻: 104 ページ: 30-33
日本近代文学
巻: 82集 ページ: 329-332
社会評論
巻: 162号 ページ: 8-10
日本思想史研究会会報
巻: 27号 ページ: 1-11
環
巻: 43 ページ: 266-287
週刊読書人
巻: 4月16日号 ページ: 4-4
図書新聞
巻: 7月17日 ページ: 8-8
巻: 11月27日号 ページ: 8-8
教育社会学研究
巻: 87 ページ: 88-90