研究課題/領域番号 |
22330227
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柴田 政子 筑波大学, 人文社会系, 講師 (30400609)
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キーワード | 第二次世界大戦の記憶 / 歴史博物館・資料館 / アジアにおける戦争関連歴史教育 / 南京虐殺 / 日本の朝鮮植民地支配 |
研究概要 |
国内における博物館・資料館調査は、平和祈念展示資料館(東京都、23年7月)、昭和館(東京都、同右)、大阪国際平和センター〔大阪府、24年1月)で行った。昭和館では展示調査とともに、面談調査も行うことができ、松尾公就図書情報部長、渡邉一弘学芸課長、玉川裕子図書情報課長から館の教育組織や運営状況について情報を収集した。本年度の国外での調査はまず韓国独立記念館〔大韓民国、23年8月)から着手した。ここでは教育プログラム開発に直接携わり日本語にも堪能なDr. Kim Kyung Meeと面談を行い、同館の設立経緯や時代的・政治的背景等についても見解を得ることができた。次に着手したのは、主に日本軍による南京虐殺に焦点を据えた侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(中華人民共和国、23年11月)で展示調査を行った。同館には日本語が堪能な職員とのメールを通じて数度に渡り面談を申し入れたが、館長以外との面談は不可能で館長も多忙とのことから叶わなかった。しかし、南京大虐殺について専門に研究し、日中歴史共同研究のメンバーでもある南京師範大学教授・張連紅教授との面談を通じて、中国における南京虐殺についての学校内外での教育状況について把握することができた。ヨーロッパでの新たな調査として、ベルリンのユダヤ博物館(ドイツ、24年2月)、ミラノの国外追政記録財団(イタリア、同右)を訪問し、各々Dr. Sarah HironとDr. Giovanna Massariello氏から情報を得た。 研究成果の口頭発表は下記の通りであるが、特に第二次世界大戦に関する歴史教育プロジェクトである香港でのLeverhulme Research Project Workshopは、日本の歴史認識・歴史教育を専門とする海外(英国、シンガポール、中国、韓国、台湾)の研究者が同テーマについて議論をし、国外における視点や議論についての認識を深める上で非常に重要な機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はアジアに焦点を据えて海外調査を計画していたが、アジアにおける最重要の調査場所としていた中国の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館と、韓国独立記念館での調査を敢行することができたのは最大の成果であった。しかし、台湾での調査は日程調整が困難であったので、来年度に先延ばしする形となった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成24年度は、計画している台湾師範大学台湾史研究所、アリゾナ記念博物館(アメリカ合衆国)、テレージン・メモリアル(チェコ)、ブダペスト・ホロコースト記念館(ハンガリー)での現地調査を行うとともに、同大戦関連の歴史認識問題・歴史教育の分野を中心に取り組む研究者を招聰し、セミナーを開催する。
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