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2011 年度 実績報告書

「包括性」と「多元性」に基盤をおいた社会科カリキュラムの再構築

研究課題

研究課題/領域番号 22330241
研究機関東北大学

研究代表者

谷口 和也  東北大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60281945)

研究分担者 宮腰 英一  東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50166138)
溝口 和宏  鹿児島大学, 教育学部, 教授 (30284863)
吉村 功太郎  宮崎大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00270265)
草原 和博  広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (40294269)
キーワードシティズンシップ教育 / カリキュラム / 政治的リテラシー / 日本史教育 / 防災教育
研究概要

本年度は、平成23年度の理論的研究成果に基づき、実際のカリキュラム開発を行った。学会発表(「シティズンシップと歴史教育に関する一考察-包括性と政治的リテラシーを視点として-」)では、EUおよびアジア諸国の歴史教科書分析を基にして、「包括性」の連続的拡大の歴史としての日本史のカリキュラムを提言した。「包括性」は、前年度までの研究で、(1)人々が帰属意識を感じ、(2)それを通して政治的参画を行い、(3)安全保障を得る範囲と明らかにした。今年度は、これを基に「ムラからクニへ」「朝廷と蝦夷」「幕府と藩」「明治維新」「日本分割論」などの具体的単元を構想し、人々がどのように現在の日本に至るまでに、(1)~(3)の範囲を拡大させてきたかという観点から歴史を物語ることを提案した。これによって、将来、EUのような地域共同体に参加した場合にも、このカリキュラムの拡大として歴史教育ができるようになろう。
また、論文(「英国シティズンシップテキストブックの内容構成研究-政治的リテラシーの育成を中心に-」)では、政治的リテラシーの育成から構成するための理論を明らかにした。
さらに1年間、イギリスのシティズンシップ教育を基にして仙台市内三か所の小中学校および市民を対象として、コミュニティにおける多様性と、そこで合意し参画ができるような市民としてのリテラシーを育む授業実践の展開とカリキュラム開発を行った。この事業は報告書「防災教育を通じた市民性育成のための教育」(全76頁)、毎日新聞社の「ぼうさい甲子園」で受賞した。この実践は、次年度、仙台市内五か所の小中学校でカリキュラムの開発とともに行い、商業出版を目指す予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

四つのクラスターである「成立史クラスター」「地理的包括性クラスター」「世界史・政治史クラスター」「シティズンシップ・クラスター」については、ほぼ予定どおりの発表および作業を行っている。国際学会の発表に関しても、アメリカおよびモンゴルで予定通り行った。
なお、計画段階で次年度以降と想定しそれほど考慮していなかった実際のカリキュラムが、東日本大震災後、各小中学校からの共同開発の申し出が活発となり、かなりの広がりを見せた。

今後の研究の推進方策

24~25年度の研究方策としては、理論面と実践面の二点で研究の完成を目指す。
まず、『英国シティズンシップ教育の成立史』の執筆および報告書における「包括性と多元性に基盤をおく社会科カリキュラム」の二つの理論的完成である。23年度にすでに日本史については発表を行ったので、遅れている地理的包括性とともに政治的リテラシーの内容構成について重点的に研究を進める。
また、実践面では、23年度に本格実施した仙台市小中学校での実践を拡大し、24年度は太白区内で行うとともに、商業出版を目指す予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 高等学校社会系教科における批判的思考力を育成する授業開発の研究(II)2012

    • 著者名/発表者名
      草原和博
    • 雑誌名

      広島大学学部・附属学校共同研究機構『学部・附属学校共同研究紀要』

      巻: 40 ページ: 289-294

  • [雑誌論文] 英国シティズンシップテキストブックの内容構成研究-政治的リテラシーの育成を中心に-2011

    • 著者名/発表者名
      吉村功太郎
    • 雑誌名

      宮崎大学教育文化学部紀要教育科学

      巻: 25 ページ: 77-92

  • [雑誌論文] 実践的な力量形成を実現する教員研修モデルカリキュラムに関する研究(3)-「授業研究支援シート:小学校社会科編」の活用と検証を通して-2011

    • 著者名/発表者名
      田口紘子・溝口和宏
    • 雑誌名

      鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要

      巻: 21 ページ: 9-18

  • [学会発表] 多元的な教科観・段階的な目標設定に開かれたモデル地理教科書の開発-教師のゲートキーピング力の解明に向けて2012

    • 著者名/発表者名
      草原和博
    • 学会等名
      社会系教科教育学会
    • 発表場所
      兵庫教育大学(加東市)
    • 年月日
      2012-02-18
  • [学会発表] シティズンシップと歴史教育に関する一考察-包括性と政治的リテラシーを視点として-2011

    • 著者名/発表者名
      谷口和也
    • 学会等名
      全国社会科教育学会
    • 発表場所
      広島大学(東広島市)
    • 年月日
      2011-10-09
  • [学会発表] 日本の社会科研究に対する米国社会科のインパクト-『社会科研究』の研究動向にみられる日本型教科教育学研究の確立-2011

    • 著者名/発表者名
      草原和博
    • 学会等名
      全国社会科教育学会
    • 発表場所
      広島大学(東広島市)
    • 年月日
      2011-10-09
  • [学会発表] Standard and Diversity Recent Trends of Curriculum Reform of the World2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuya TANIGUCHI
    • 学会等名
      Mongol Education Alliance Trainers Seminar
    • 発表場所
      MEA (Ulaanbaatar, Mongol)(招待講演)
    • 年月日
      2011-08-11
  • [学会発表] What Japanese Young Adolescents Know and Think about Citizenship and Civic Engagement : An Analysis from the 2007-09 National Citizenship Study2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro KUSAHARA
    • 学会等名
      7th CitizED International Conference
    • 発表場所
      Emory University (Atlanta, USA)
    • 年月日
      2011-05-12
  • [図書] 『中学校新社会科地理の実践課題に応える授業デザイン』(第II部2「教科書の機能と活用法の変容-テキストが教科書に残る理由,教科書から消える理由-」部分を執筆)(大杉昭英編)2011

    • 著者名/発表者名
      草原和博
    • 総ページ数
      執筆部分11-30
    • 出版者
      明治図書
  • [図書] 片上宗二・木村博一・永田忠道編『混迷の時代!"社会科"はどこへ向かえばよいのか-激動の歴史から未来を模索する-』・谷口和也「社会科につながった社会研究科への変遷」部分を執筆・草原和博「米国における地理教育の歴史」部分を執筆2011

    • 著者名/発表者名
      谷口和也, 草原和博
    • 総ページ数
      執筆部分47-55 183
    • 出版者
      明治図書
  • [備考]

    • URL

      http://www.sed.tohoku.ac.jp/lab/taniguchi/html/works/work.html

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公開日: 2013-06-26  

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