研究分担者 |
棚橋 健治 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40188355)
溝口 和宏 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30284863)
桑原 敏典 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70294395)
鴛原 進 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30335880)
橋本 康弘 福井大学, 教育地域学部, 准教授 (70346295)
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研究概要 |
今年度は,大きく以下3つの成果を残すことができた。 第1に,米国で活躍する第一線の社会科研究者を招聘し,「社会科教育研究の方法論の国際化プロジェクト」シンポジウムを開催できたことである。第4回2012年1月のシンポでは,「子ども研究」をテーマにノースカロライナ大学のバンスレッドライトが「子どもの歴史理解」の研究法を提案するとともに,共同研究者の田口紘子・藤本将人は,日本の子ども研究史を総括した。第5回2012年3月シンポでは,「カリキュラム研究」をテーマにサウスフロリダ大学のソーントンが「ゲートキーピング論」に基づく実行カリキュラムの捉え方を紹介するとともに,共同研究者の山田秀和・渡部竜也が日本のカリキュラム研究史を総括した。一連のシンポジウムを通して,日米の社会科教育研究の異同を明らかにできた。 第2に,日本の社会科教育研究の方法論的特質を解明できたことである。研究代表者の草原和博は全国社会科教育学会の『社会科研究』に掲載された論文の包括的レビューを試み,(1)研究者と実践者の連携体制,(2)工学的な問題関心(Research & Development)に特質を見いだした。本成果は,米国のNCSS/CUFA(全米社会科協議会/大学短大研究者部会)で発表することができた。 第3に,次年度に「研究法ハンドブック」を開発できる見通しが立ったことである。上の一連の成果は,「何のために・何を・どのように研究するか」という視点から再構成した上で,全国社会科教育学会の『社会科教育論叢』第48集に発表できることになった。また研究討議を通じて,近年の社会科教育研究の方法論は,(1)規範的・原理的研究,(2)開発的・実践的研究,(3)実証的・経験的研究に類型化できること,また量的には(3)より(2),(2)より(1)が多く,(3)は新たな方法論の芽生えとして位置づけられることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,過去5回にわたる国際シンポジウムの実施,日本の社会科研究史の包括的レビュー,国内外の学会における成果発表,などの実績から判断して,2年次までの研究の目的は,おおむね達成できていると認められる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本研究の最終目的である「研究法ハンドブック」の開発が課題となる。 当初は,日米の研究者が対等の立場でハンドブック開発を行うことを想定していたが,現実には時間的・言語的な困難がともなう。そこで,日本の研究者の問題関心を主軸に内容構成し,そこに米国研究者のコメント・助言・研究交流の成果を組み込みながら,開発にこぎ付けることとしたい。
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