研究課題/領域番号 |
22330255
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
内山 登紀夫 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (00316910)
|
研究分担者 |
坂井 聡 香川大学, 教育学部, 准教授 (90403766)
堀江 まゆみ 白梅学園大学, こども学部, 教授 (50259058)
|
キーワード | 特別支援教育 / アスペルガー症候群 / 高機能自閉症 / 不適応 / 非行 |
研究概要 |
堀江は普通学級に在籍するアスペルガー症候群児童・生徒および保護者、担任および学校が相互に「教育のずれ」を感じる要件や構造について、比較的第三者的視点を担保できる特別支援教育コーディネーター、特別支援学級および通級担任、非行に関わる弁護士等が経験した事例から半構造化インタビューにより抽出し分析することを試みた。聞き取りは2回に分けて延べ14人に行った。相談を受けたり指導を行った経過の中で「教育のずれ」を感じた事例を語らせた。事例類型としては、(1)普通学級に通いながら結果不登校になった事例、(2)普通学級から「逃げるように」特別支援学級に移動した事例、(3)反社会的行動や非行、トラブルに巻き込まれた事例、であった。特にアスペルガー症候群の児童生徒に「教育のずれ」を生じさせてしまう普通学級教師の側の要件として、「指導方法に自由度が乏しく、児童生徒を集団やグループ行動の枠にはめることを教育の前提とする傾向」があがった。坂井は同様のインタビューを小学校教員2名と高等学校教員1名、保護者1名の聞き取りを実施した。逐語録をまとめ、データの整理を行なっている。 内山・坂井は教員・保護者に対するアンケート調査を実施した。教員については小学校から高等学校まで399名、保護者については主としてアスペルガー症候群・高機能自閉症の親240名にアンケートの回答を得ており、現在集計・解析中である。坂井は高等学校の生徒に対し、障害理解の授業を行い、その結果もアンケートにしてまとめている。 イギリスでの情報収集では、現地の教員と、自閉症スペクトラムのある生徒への指導と周囲の理解啓発について意見交換ができ、今後の研究のための資料を得ることができた。次年度はさらに児童生徒、保護者、教育者の3者間で生じうる「教育のずれ」についての分析を行っていく。
|