研究課題
本研究の目的は、日本の学校教育において子どもの発達を最大にする合理的配慮のあり方に関する有用的かつ実効性のある知見を得るため、スウェーデン・ドイツ・イギリス・デンマーク・オーストラリア・アメリカ・フランス・ロシアそれぞれの学校におけるインクルーシヴ教育のありようと<子どもの発達を最大にする合理的配慮>の実態・成果・課題等を現地訪問調査により把握し、比較検証を行い、あり方とその必要条件・十分条件を整理することにある。初年度は実際に8カ国への訪問調査を実施し、各国における取組の概況を把握することができた。まず、「インクルーシヴ教育」概念の多様性である。ロシア、フランスでは重度の障害児に対しては特別の学校・施設を用意して教育を展開するが、通常の学校においても障害児を受け入れる「インクルーシヴ学校」や「原則として」地域の学校に在籍するといった施策を展開している。オーストラリア、アメリカ、ドイツ、イギリス、デンマークにおいては可能な限り特別の学校を限定的に活用しつつ、通常学校における多様性への対応を工夫しつつある。スウェーデンの場合には、通常の学校と特別の学校という区分はあるが、いずれも市立とし、敷地的に統合した「複合型学校」へと制度改革を進めつつ、「生徒のニーズに応じて区分はあるが、一丸となった学校」をインクルーシヴ教育へ向かう一つのステップとしている。なお、合理的配慮はインクルーシヴ教育のみならず、各国で制定が進んでいる「障害者差別禁止法」との関連で検討すべきことも示唆された。次年度以降、さらに実地調査を進め、我が国の制度改革に対して有用な知見を得るよう努めたい。
すべて 2010
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発達障害研究
巻: 32(2) ページ: 159-165
巻: 32(2) ページ: 146-151
巻: 32(2) ページ: 152-158
巻: 32(2) ページ: 128-134