研究課題/領域番号 |
22330258
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中川 辰雄 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00164137)
|
研究分担者 |
佐藤 正幸 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (50222021)
高橋 優宏 横浜市立大学, 医学部付属病院, 助教 (50315800)
|
キーワード | 聴覚障害児 / 両耳補聴 / 方向知覚 / 調整法 / 評価法 / 開発 / 補聴器 / 人工内耳 |
研究概要 |
聴覚障害者の複数音源下の選択的聴取の困難性と方向定位の関連性を明らかにすることを目的にして、聴力正常者と聴覚障害者を対象に、防音室内において音源定位能力と騒音下での文章了解度について検査を行った。音源定位検査と騒音下の文章による語音聴取閾値検査であった。検査は防音室内に設置した11個のスピーカから音声を提示した。音源定位検査では11個のスピーカからそれぞれ5回ずつランダムに女性の声で「遠足」を2回連続して提示し、被験者の頭の位置で65dB(SPL)になるように設定した。文章による語音聴取閾値検査では男女5人がランダムに文章を読んだスピーチバブルを雑音源にし、女性の声による日常生活文を信号音源にして11個のスピーカから提示した。提示条件は、信号音源と雑音源を同一のスピーカ、隣り合うスピーカ、一個置いたスピーカ、そして二個置いたスピーカからそれぞれ一回ずつランダムに提示した。実験の結果、音源定位能力は了解度と直接関係するものではなく、了解度に間接的に影響する騒音の影響を両耳聴により緩和することによって、了解度を向上させる働きがあるのではないかと思われた。左右耳に大きな聴力差があったり、何らかの原因で片耳だけにしか補装具を装用できない場合、騒音も信号音も片耳で聴取するためにそれらを分離して聴取することができない。そのために"spacial release from masking"が生じにくくなり、スピーカの提示条件間で語音聴取閾値に差が出なかったのではないかと思われる。今後は聴覚障害者の人数を増やして、ここで得られた知見についてさらに検証する必要があると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画が無理なく適切であったと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
聴覚障害者を対象とした語音聴取閾値を求める方法として極限法を用いたが、この方法は時間もかかり、被験者の負担が大きいので、コンピュータ制御による適応法の採用を検討している。また、今回は比較的聴力の厳しい聴覚障害者を対象としたが、今後は平均聴力レベルが50~80dBの方を対象とする方向で進めていきたい。 聴覚障害児に対しては音の空間知覚質問紙によって、実験的ではなく間接的に研究をしたいと考えている。
|