研究概要 |
本研究では,次の3つの段階の研究を計画した。第1段階:言語能力を査定するための検査類の整備,第2段階:視覚障害児・聴覚障害児・読み書き障害児の言語能力の査定,第3段階:第2段階の結果に基づく支援プログラムの策定。第1段階について本年度は,われわれがこれまで開発してきた適応型言語能力検査(ATLAN)の下位検査として書取り検査を作成した。問題は小学校2年生~中学3年生を対象として計247問を作成し,1306名に実施した。この結果をもとに各問題についてパラメータ推定を行い,Web版,およびスタンドアローン版のATLAN書取り検査を作成した。さらに,同検査の動作と信頼性を確認するため,小学校3・4年生計62名を対象としてATLAN語彙検査・漢字検査・書取り検査を実施した。その結果,書取り検査に関しても対象児の解答に応じて異なる問題が提示される適応型検査としての特徴を有していること,他の検査課題との間で一定の相関が見られることが示され,検査としての信頼性が確認された。また,本研究の第2段階として,本年度は視覚障害児・聴覚障害児の言語能力査定のための準備作業を行った。視覚障害児の場合は,絵などの視覚的な材料を使用することができないので,これを除いた視覚障害児版語彙検査(幼稚園~中学3年生対象,計211問)を作成し,試行的に実施した。聴覚障害児に関しては,語彙・文法・漢字各能力の基本的な特徴を明らかにするためにATLANの問題プールから各学年を対象とした版を作成し,次年度実施の準備を行った。
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