研究概要 |
本研究の達成目標は、視覚に障害のある児童生徒に適した拡大教科書を選定するための検査バッテリーと普及・啓発を促進するための教材と研修プログラムを開発することであった。最終年度である本年度は、拡大教科書を選定するための検査バッテリー「拡大教科書選定支援キット」の試作し、関係団体(80団体)で試用実験を実施した。また、研究協力機関(19機関)に依頼し、本キットをノービス(初学者)が利用する際の問題点等について事例収集を行った。事例研究の結果に基づき、通常学級の教員が簡便に利用できる「簡易版拡大教科書選定支援キット」を試作した。そして、その有効性を確認するために、全国の盲学校(70校)と都道府県教育委員会(52)の122機関に配布した結果、68機関から有効回答(55.7%)があり、60機関(88.2%)から役立つという回答を得た。また、本キットの活用に関して希望のあった学校等に訪問し、OJTを行った。 3年間の研究成果を普及・啓発するために、「簡易版拡大教科書選定支援キット」を拡大教科書を利用している小中学生の担当教員1,194人(通常学級570人、弱視学級187人、弱視学級以外の特別支援学級205人、盲学校212人、その他20人)に配布すると同時にホームページでも公開した(http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/research/largeprint/03_kaken/2012/index.html)。また、3年間に実施した3回の公開シンポジウム、3回の学会シンポジウム、10種類の調査研究、12種類の実験研究、弱視児童生徒の障害特性と読書行動の関係を検討するために開発した4つのアプリケーションソフトウェア、調査の過程で収集した2種類の各種情報もホームページで公開した。
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