研究課題/領域番号 |
22330265
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研究機関 | 大阪芸術大学 |
研究代表者 |
田中 裕美子 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60337433)
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研究分担者 |
菊地 義信 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (20091944)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 読み書きの発達 / 学習のつまずき / 読み困難 / 縦断研究 / 聴覚的理解 / 発達の予測性 / 言語理解 |
研究概要 |
小学5年生における読み(音読・読解)の発達、それらに関連する要因である話しことばの理解・表出の発達を調査するために下記を実施した。 1.5年生用読み書き課題(プリント)の作成: 課題には、(1)文の完成11題、(2)文意の読みとり2題、(3)文章の詳細な読みとり:説明文・物語文各1文、(4)言い回しの理解10題、(5)4コマ漫画説明(6)熟語を意味から選択10題を含めた。 2.PCを用いた話しことばの発達を調べる課題(聴覚的理解・語彙理解・表出誘発課題)の作成: (1)理解語彙:PVT-Rから18題、(2)短文の聞き取り理解:OWLS(Oral and Written Language Scale)のListening Comprehensionの応用10題、(3)聴いた文意の理解から言葉を想起する10題、(4)文意の聞き取り:CELF-4(Clinical EvaluationofLanguage Foundation-4^<th>ed.)の応用2題、(5)文章の詳細な聞き取り:説明文・物語各1文、(6)文の完成:OWLSのLanguage Expression課題の応用10題、(7)動画の口頭説明を含めた。 3.対象児への実施: 北海道中標津2校(172名)、新潟県横越1校(100名)、栃木県那須塩原市3校(273名)の545名(男277名、女268名)を対象児とし、クラス単位でPC課題、プリント課題の順で実施した。 4.読み書き困難や話しことばの遅れが認められる子どもについて: 各校で、これまでおよび今年度の成績から読み・学習困難リスクが認められる児童について各担任に報告し、対応策について協議した。 5.低学年における成績の予測性についての予備的分析: 一部のデータを使い小2の読み書きテスト結果と小5の読み書きテスト結果の相関を調べたところ、r=0.68(R^2=0.42)と予測性が高く、同時に、50%近くは3年間の努力や指導で読み書きスキルに変化の可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
追跡対象児がやや減少しているが、課題作成や実施のための小学校や保護者との連携はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は4年目、最終年度である。そのため、まず、低学年で気になった子どもや担任が心配していた子どもの個別面談を実施し、子どもの発達やつまずきを詳細に把握し、初期評価の妥当性や発達的変化について検討する。また、小6時における話しことば・書きことばの発達を的確に捉えることができる課題の作成に尽力し、低学年からの予測性などを明らかにし、本縦断研究を意義あるものにしていく。
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