研究概要 |
表現論は、対称性を研究する数学の分野であるが、これを代数・幾何等を用いて研究した。 特に次の研究をおこなった。 1.クイア リー超代数の結晶基底を構成し、それの組み合わせ論的記述を行った。これまで知られていた結晶基底は、パラメータが絶対零度の場合の基底であったが、これを部分空間と弱めることにより、クイア リー超代数の結晶基底が存在することが証明できた。又、これが標準ヤング盤の類似をもちいて組み合わせ論的に記述できることをしめした。(D.Grantcharov,Ji-Hye Jung,Seok-Jin Kang,Myungho Kimとの共同研究。) 2.永年予想であった「余次元3予想」を肯定的に解決した。ホロノミック系の台はラグランジュ多様体であるが、ホロノミック系が余次元2の部分集合を除いたところで決まってしまうことは、超局所解析の研究当初から知られていた。余次元3の部分集合を除いたところでホロノミック系が与えられれば、全体に拡張できるだろうというのが、余次元3予想で、これは1970年代から予想されていた。これを解析的な方法をもちいて解決した。これは、将来、表現論にも応用されると期待される。(K.Vilonenとの共同研究) 3.結晶基底は純組み合わせ論的であるが、この幾何的な類似は、幾何的結晶基底としてKazhdan,Berensteinによって提唱され、有限次元半単純群のばあいはこの構成方法も与えられた。しかし、アフィンの場合は、個別に知られた例もあったが一般的な構成方法は知られていなかった。これに対し、アフィン量子群の有限次元基本表現から出発する一般的な構成を与えた。(尾角正人、中島俊樹との共同研究)
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