研究課題/領域番号 |
22340014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩瀬 則夫 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60213287)
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研究分担者 |
角 俊雄 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (50258513)
酒井 道宏 久留米工業高等専門学校, 一般科目(理科), 准教授 (90353276)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | L-S カテゴリ数 / Lie 群 / 特殊直交群 / cup length / primitively generated |
研究概要 |
特殊直交群 SO(n) の L-S カテゴリ数は $n \leq 9$ までが決定されている:$n \leq 5$ は James により知られ、それ以降は三村・西本の両氏との共同研究により得られたものであり、いずれの値も結果的には cup-length と一致している。 今年度の長期出張においてヨーロッパの専門家との討論を経て、宮内・菊池の両氏とともに 6 年前までに書きかけながらそのままにしていた論文原稿の主たる命題の証明に対して、最後の、そして最も重要な piece を埋めることができ、これを用いて SO(10) の L-S カテゴリ数がその cup-length に一致することが示された。 今回の SO(10) は、その普遍被覆 Spin(10) が primitively generated でない初めての Spin 群となるものであり、この結果を踏まえれば、特殊直交群 SO(n) の L-S カテゴリ数がその cup-length に一致すると予想することも相応の理由があると考えて良いかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位相的複雑さについては、fibrewise な L-S カテゴリ数と同等であるとする結果を得ており、さらに代数的な普遍量の構成もこの結果から自然に導出された。現在はその応用を与えることが残されている。 ただし、本研究 Hopf 空間に対して、あるいはより一般な積をもつ空間において、位相的複雑さと L-S カテゴリ数が一致することが本研究で示されている。 また、Lie 群の L-S カテゴリ数については、長年の課題であった SO(10) の L-S カテゴリ数の決定に至ったことは、次のステップへ向けた弾みとなりそうである。
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今後の研究の推進方策 |
特に Lie 群については、位相的複雑さと L-S カテゴリ数が一致することが本研究でも、またこれとは独立に Lupton らにより得られている。この事実に鑑みれば、さらに Lie 群の L-S カテゴリ数に研究の資源を投入することに大きな意味があると考える。今回の SO(10) の L-S カテゴリ数の決定に至った中心的なアイデアは、Fox に始まる categorical sequence の理論であるが、これを Bott-Morse 理論と融合することが今後の研究の推進の為の方策となると考える。しかし現状では、後者は cone-decomposition の理論に結び付いており、これを慎重に切り離す作業が必要ではないかと考えている。
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