研究課題/領域番号 |
22340015
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
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研究分担者 |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (30268974)
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キーワード | Anosov流 / 偶数次元葉層 / 余次元1葉層 / symplectic構造 / 単純楕円型特異点 / 強擬凸性 / h-原理 / 接触構造 |
研究概要 |
5次元球面上のLawson葉層を代表例とする、および単純楕円超曲面特異点に付随するMilnorファイブレーションと開本分解に付随する葉層構造に葉向symplectic構造が存在することを見出していたが(論文投稿中)、これについて、付随する接触構造の収束の観点からの理論の枠組みを阪大の森氏と構築し、存在条件の一般化とその定式化を研究し、強擬凸性のsymplecticトポロジーとしての研究の枠組を得た。 研究協力者のElmar Vogt氏(Berlin自由大学)との研究の発展により、4次元多様体上の2次元葉層の改変操作、特にコンパクト葉の向きの反転を引き起こす2種類の操作に関して、一方が予想通り葉層構造を必ずtautでなくする操作であるのに対し、他方はよりtautなものに変形する操作であることが、Sullivanによる葉層サイクルを用いたtaut性の理論の応用として証明できることが分かった(論文執筆中)。 また、3次元多様体上での(双)接触構造のAnosov葉層構造への収束を用いたタイト性の証明の研究では、変形量子化に伴う無限次元障害が局所的に発生することが分かり、このことの理論的定式化とその処理が今後の研究の課題となることが分かった。 接触構造・symplectic構造と葉層構造との関連をこのように3,4,5次元多様体上で総合的に研究していく中で、5次元多様体上の2-calibrated葉層(pre-symplectic構造で葉の方向に非退化なもの)の研究、特に4次元symplectic多様体上の平坦円周束のオイラー類がsymplectic類と一致しうるかどうか?という極めて興味深い問題設定に至った。 また、より偏微分微分方程式の接触幾何に近い観点から研究全体を見直すため、2変数関数の2階jetの空間に定まる二つのpresymplectic構造(併せてmetaplectic構造と呼ばれる)を研究し、そのLagrangian Grassmannが2次元球面上のねじれた2次元球面束となることの微分位相的証明を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に具体的目標を(1)-(5)として記載したが、(1)Anosov流を利用したタイト性の証明については、変形量子化に伴う局所障害の存在を発見、計画の修正の要はあるが、一応の進展を見た。(2)開本分解に付随する接触構造の葉層構造への収束については3次元を想定していたが、5次元において大きな成果を得た。(4)4次元多様体上の2次元葉層の改変操作については、かなり満足のいく結果が得られている。(3)接触構造のLagrangianホモロジー論の展開と(5)完全流体の第一積分については、今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
Anosov流に付随した双接触構造のタイト性を流体力学のhelicityを利用して直接証明する課題については、局所的な障害が、変形量子化に伴って生じることが分かった。この現象を厳密に定式化することが、この問題の重大な次のステップとなることが分かったので、計画をそのように変更する。 また、開本分解に付随する接触構造の葉層構造への収束については、予想外に3次元より5次元で大きな成果が得られた。5次元での状況をさらに追及することが、研究の進展につながるように思われるので、この部分も研究計画を3次元から5次元へ中心を移すことを考える。
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