研究課題/領域番号 |
22340017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90234509)
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研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00127234)
相川 弘明 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20137889)
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40303888)
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キーワード | 確率論 / 数理物理 / 解析学 / 複雑系 / 統計力学 / 飛躍型確率過程 / 国際研究者交流 / 英:米:ドイツ |
研究概要 |
1.樹木上の臨界確率パーコレーションに絶滅しないという条件付けをしたクラスターを考える。熊谷は、この上のバイアス付きのランダムウォークの漸近挙動を解析し、agingの問題を扱った。ランダムウォークのtrappingの影響で、非自明なスケール極限を導出するには指数的時間スケールが必要となる。さらに、backboneに射影した確率過程のスケール極限としてextremal processの逆過程が現れる事が判明した。(D.A. Croydon氏、A. Fribergh氏との共同研究、論文は雑誌にacceptされた。) 2.重川は、非対称なマルコフ過程のうち生成作用素が正規作用素となるものを考察し、扇形条件を満たすDirichlet 形式が対応する条件をスペクトルで与え、スペクトルが完全に決定できる具体的な例の計算を行った。 3.相川は、古典的なHarnack原理を拡張し、途中に障害物がある場合でも同様の結果が得られる条件を発見した。容量的幅を拡張されたHarnack原理によって評価し、箱議論を精密に行うことにより対数型の連続率を持つHolder領域に対して、境界Harnack原理を導いた。 4.木上は、tree によってparametrize された距離空間について、その上のmeasureがvolume doubling になるための必要十分条件、metricがquasisymmetricになるための必要十分条件を明らかにし、特に正方形から無限個の長方形を抜いた空間に対して応用した。 5.日野は、一般の強局所正則ディリクレ形式に対して可測的リーマン構造が付随することを示し、確率解析への応用を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確率論的手法と実解析的手法を融合し、確率モデルに適用するという本研究の中心課題は、バイアス付きランダムウォークの研究など当初予定していなかった方向にも拡がり、全体的にまずまずのペースで進展している。関連した調和解析の研究(Harnack原理、境界Harnack原理など)にも進展が見られ、Dirichlet形式の研究にも更なる深みを与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
幅広い分野の知識と技法が必要となる本研究課題の推進には、分担者、国内外の連携研究者との深い研究交流が必要不可欠である。本年度はRIMSプロジェクト研究「離散幾何解析」が開催され、本研究代表者はプロジェクト研究でも組織委員会に属すなど中核を担っている。プロジェクト研究の研究集会で情報収集を行い、来日する研究者との交流を深めるなど、プロジェクト研究との連携を図ることで相乗効果により研究のさらなる推進を目指す。(注:上記は、繰り越し分が終了した時点での推進方策である。)
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