研究課題/領域番号 |
22340025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須川 敏幸 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30235858)
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研究分担者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
藤川 英華 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80433788)
松崎 克彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80222298)
阿部 誠 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90159442)
佐官 謙一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70110856)
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キーワード | 単葉性判定法 / シュワルツ微分 / シュワルツ補題 / ベキ変形 / 変動領域 / グルンスキー係数 / ベキ行列 |
研究概要 |
今年度は震災の影響で大きな予定変更もあったが,以下のように研究を行った. 1.Yong Chan Kim氏と共同で単葉函数のベキ変形の研究を継続した.与えられた函数に対して,そのベキ変形が単葉となるような指数の集合の函数論的な性質を調べた.研究結果がある程度まとまったので,論文にまとめて現在投稿中である.またこの研究の過程で,zf'(z)/f(z)の絶対値を用いた新たな単葉性判定法を発見した.この判定法については,現在も研究を進めており論文執筆を準備しているところである. 2.加藤崇生氏,王利梅氏との共同研究において,近接凸函数のzf'(z)/f(z)の変動領域を研究した.点を固定した場合の変動領域は既にBiernackiによってなされていたが,あまり明示的ではなかった.我々は明示的な形でこれを与え,その応用として全変動領域を決定することができた.また,この結果は上記ベキ変形の研究にも応用を持つ. 3.Seong-A Kim氏,Kyunghyun Cho氏らとの共同研究において高階不変シュワルツ微分や高階のシュワルツ補題について研究を引き続き行った.今年度は特にグルンスキー係数やベキ行列との関連について研究を進めた. これら以外にも,函数論分科会が所掌する研究集会やセミナーを企画・援助するなどし,特に12月には広島にて第19回有限無限次元複素解析国際会議を開催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者を中心として,等角不変量について種々の方向から研究を行い,実際にそれに関わるような単陽性判定法,不変シュワルツ微分,高次シュワルツ補題,等角写像のあるクラスについての変動領域の決定などを研究成果として得ることができた.また,それに伴い実際に数本の論文を書き,投稿または投稿準備をすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は,東日本大震災の影響で夏に仙台で予定していた国際研究集会を冬に広島で行うことになるなど,大きな予定変更があったが,研究の推進には幸いそれほどの影響はなかった.今年度も,これまでの研究体制を維持しつつ,海外での研究集会での研究発表や海外からの研究者の招待を進めるなど,より一層の研究の進展を目指す.なお,広島での集会の会議録を発行準備中であり,今年度はその編集作業も行う予定である. また,擬等角写像の教科書については執筆作業がやや遅れているが,今年度中の完成を目指す.
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