研究課題/領域番号 |
22340025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須川 敏幸 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30235858)
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研究分担者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10154189)
柳原 宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30200538)
佐官 謙一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70110856)
松崎 克彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80222298)
藤川 英華 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80433788)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幾何学的函数論 / 単葉函数 / シュワルツ微分 / 変動領域 / 双曲計量 |
研究概要 |
1. 研究代表者はYong Chan Kim氏との共同研究において,単位円板上で定義された正則函数f(z)に関して,zf'(z)/f(z) の絶対値による新たな単葉性判定法を提案し,その最良定数に関する評価を行った. 2. また,研究代表者は,O. Roth氏らと錐特異性を持つリーマン面上の(完備)双曲計量の存在と一意性について研究を行い,特に2つの錐特異点の距離の下限を錐角を用いて表すことに成功した.存在については十分一般的な条件が得られているが,一意性についてはまだ部分的にしか解決していないので,今後の課題である. 3. さらに,研究代表者は高階シュワルツ微分のノルム評価を単位円板の場合に行った.特に,Aharonovによって得られていた単葉性のための必要十分条件を高階シュワルツ微分を用いて言い換え,それにより単葉函数に対して各階のノルムが満たすべき不等式を導いた.さらに,その定数の最良性についても議論を行ったが,まだ満足のいく形とは言えないので,それも今後の研究課題となっている. 4. 研究代表者と,加藤崇生氏,Li-mei Wang氏との共同体制による近接凸函数の変動領域の研究を今年度も引き続き行い,証明の簡略化などにより理論がかなりすっきりとしてきた.現在は論文を投稿し,修正指示を受けて再投稿を終えた段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者を中心として,等角不変量についての様々な研究を行い,実際にそれに関わる単葉性判定法や,不変シュワルツ微分と単葉性との関係を究明するなど,多くの研究成果を得た.また,実際に研究分担者も含めて数本の論文を書くことができ,投稿または投稿準備をすることができた.また,前年度に行った広島での国際研究集会の会議録は,研究代表者と松崎克彦氏との共同編集という形で,今年度に東北大学出版会から出版された.さらには,研究代表者は不変シュワルツ微分に関して日本数学会の函数論分科会で特別講演を行ったり,国際会議に招待され成果発表を行うなど,徐々にではあるが研究成果が評価されつつある状況である.
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今後の研究の推進方策 |
今後もこれまでの研究体制を維持しながら,これまで同様に研究を続けることが基本となる.さらに,ここ1,2年の間に指導する大学院生の数も増えてきたので,大学院生に研究の一部を分担してもらい,より効率的に研究を進めることが可能になってきている.今後は,東北地区で複素解析セミナーを定期的に開催することが決まっているほか,秋には仙台において国際的な幾何学的函数論の集会を開いたり,国際会議への出席が予定されているなど,内外において積極的に研究活動を継続し,成果を発表していきたい.
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