研究分担者 |
相川 弘明 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20137889)
宍倉 光広 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192606)
須川 敏幸 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30235858)
足利 正 東北学院大学, 工学部, 教授 (90125203)
大鹿 健一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70173325)
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研究概要 |
志賀啓成はまずCauchy積分の境界挙動について研究し,古典的なHardy-Littlewoodの定理の拡張を証明し,これを用いて幾何学的有限なb-群の不変成分のリーマン写像をその境界関数の連続度で特徴付けた.次に,Lefschetz fibrationの複素構造,とくに複素構造が入るための必要条件について考察し,複素構造を持たない新しい例の構成に成功した.また正則運動(holomorphic motion)について研究し,それがリーマン球面全体の正則運動に拡張出来るための条件について新たな知見を得た.相川弘明はDirichlet問題に関して,境界関数と解の連続率について以前のH¥"older連続性からより一般の連続率に拡張した.古典的なHarnack原理を拡張し,途中に障害物がある場合でも同様の結果が得られる条件を見つけ,境界Harnack原理やMartin境界に応用する準備を行った.宍倉光広は1変数複素力学系の分岐現象および、相空間内のジュリア集合について研究し,無理的中立不動点を持つ複素力学系について力学系的座標系という概念を導入した.また、木坂氏との共同研究で、あるクラスの超越関数のジュリア集合がなめらかな曲腺からなることを示した.須川敏幸はY.C.Kim氏と共同で単葉函数のベキ変形に関する研究を行った.これは単葉函数の正則運動(holomorphic motion)を与えるもので,擬等角拡張やタイヒミュラー空間への応用などが期待される.また,王利梅氏と共同でclose-to-convex functionsに対するある種の汎函数の変動領域について研究を行った。また,Gutlyanskii氏,佐官氏と共同で退化Beltrami方程式の同相解の境界挙動について研究した.足利正は負型擬周期写像からリーマン面の退化族を構成するMatsumoto-Montesiosの方法は負型連分数を用いる2次元巡回商特異点のHirzebruch-Jung解消と本質的に結び付く。本年度はこの連分数(我々の立場では1次元連分数)を高次元連分数に拡張した。この新しい連分数は多重分数係数のある非可換多項式として定式化されるが、特異点及び退化への今後の応用が期待される。大鹿健一はKlein群の変形空間の位相構造の研究を行った.特にBers境界のq-creduction(簡約Bers境界)を考え,この空間は基点によらず一定で,写像類群が作用することを示した.さらに簡約Bers境界上の自己同相写像はかならず(向き付けを保たないものも込めた)写像類から来ることを示した.このほかに変形空間の衝突の現象の研究を深めた.自由積分解不能のとき,衝突を起こす点の特徴付けを与えた.
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