研究概要 |
差分Painleve-II方程式はその方程式に陽に入れたあるパラメーターを 0 に近づけることにより Painleve-II方程式に退化させることができる.本研究では,差分P-II方程式の解がこの極限操作の過程でどのように変化するのかを調べた.その結果,差分P-II方程式の任意定数を含まない解は Painleve-II の 0-パラメーター解に収束することがわかり,その事実を正確に記述する極限公式を得ることができた.さらに差分P-II方程式の任意定数を1つ含む解は,パラメーターの適当な点列をとれば Painleve-II の解のある 1-パラメーター族に属するもののうちの一つに収束させることができることを証明した. Painleve II が有理関数解をもつための必要十分条件はよく知られており,そのときの有理関数解もすべて決定されている.一方差分P-II方程式については,自明な解の Backlund変換により与えられる一連の有理関数解が存在することは知られていた.本研究では,差分P-II方程式が有理関数解をもつための必要十分条件を与え,この方程式の有理関数解は既に得られているもので尽くされていることを証明した.また,autonomous な場合の差分P-I,P-II方程式についても全ての有理関数解を決定した.以上により,差分P-I,P-II方程式については全ての有理関数解をつかまえることができた. Riemann zeta関数の critical line 上での4乗平均についてそのうちの2乗分を critical line に沿ってずらしたものに対し,そのずらし幅を含んだ漸近公式を与えた.ずらし幅が小さいときの漸近公式の極限として Ingham の結果が従う.またずらし幅がそれほど大きくはないが有界ではない場合にも別の形の漸近公式を得ることができた.
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